「これからはデコポンです!」栽培者ら自信=もう普及の段階=商品名の公募へ=ピラールで「経験交換会」=ブラジルの大地が育てる=濃い味、程よい酸味

2007年7月7日付け

 ブラジルでデコポンの普及を――。APPC(サンパウロ州柿生産者協会、午腸修二会長)デコポン部会は、四日、浦田昌寛JICAシニアボランティアを講師に、ピラール・ド・スル付近の四つの農場をめぐる現地研修会を開催した。デコポンは、ポンカンに比べ味が濃く、種無しで、果実も大きい。「これからはデコポンですよ」。赤黄色の果実がたわわに実る農場で、関係者らは自信を持って、デコポンを勧めた。
 デコポンは熊本が地元として知られており、七二年にタンジェリーナ種とポンカンの交配から生まれた。ブラジルでは気候がいいため、三百グラムから、大きいもので六百グラムのものがとれる。糖度十三度以上、程よい酸味があり、味が濃い。「皮がむきやすくて、手が汚れない」と浦田さん。
 国内でのデコポンの先達は、トゥルボランジャ市(MG)の谷脇運吉さん。二〇〇一年には、オランブラのロナウド・キエビスボスチさんが九千本を植え、ピラール・ド・スルでは、〇四年から栽培が始められた。
 現在、ピラール周辺に植えられているデコポンは、約二万本。部会には、モジ・グアスーやイビウーナ、遠くはバイア州ムクゲ、ミナス・ジェライス州ポウゾ・アレグレなどから、二十九農家が参加している。
 「デコポンはポンカンと違って、手がかかるんだよ。水と肥料をよく喰うし、剪定、摘果と忙しい」と、栽培者の安藤テイジュさん。
 手間をかける分、デコポンは、ポンカンよりも割り高になってしまうため、浦田シニアはじめ、生産者たちは、果実出荷の端境期を狙って高品質のものを販売する、テンポロン技術を取り入れている。
 雨量が千二百ミリ前後と、果実生産にはピッタリのピラール・ド・スル。研修会では、百合照男さん、中村隆行さん、伊藤正男さん、森岡明さんの農園をめぐり、果実のなり具合、テンポロン技術の確認、デコポンの収穫方法の講習を受け、それぞれの経験、意見の交換を行っていた。
 「ブラジルは気候がいいから、放っておいたらどんなフルーツだってできるけどね、本当に美味しいものは、手をかけなければできないんだ」と、斎藤イサオさん。
 「一度食べれば、違いがわかる」と、生産者らは合言葉のように、うなずきながら繰り返した。
 ロナウドさんは「これまでも(デコポンの)宣伝をしてきた。客は新しいものに飛びつくけど、それを取り込まなきゃいけない。だから皆で集まって、品質のいいものだけを作るように勉強しているのさ」。
 今年、同地では、約半分の木に実がつき、十八農家が出荷する。浦田シニアは「これからデコポンが出回ります。来年から本格化して、そのうち、輸出を始めます」と展望を話した。
 APPCデコポン部会は二十、二十一日、EXPOイミグランテス会場で開催される「日本祭り」のJICAブースで、デコポンの試食を行う予定だ。ジュース、皮の甘露煮、デコポンのケーキなどを用意し、アンケートを取るとともに、デコポンの商品名の公募を行う。