童謡と唱歌で日本の心呼び戻そう=ソプラノ歌手、森敬恵さんら来伯

2007年7月11日付け

 童謡と唱歌で呼び戻そう日本の心。ブラジル日本会議(上野アントニオ会長)は、日本を代表するソプラノ歌手、森敬恵さん、二期会会員らの「日本の心のコンサート」を、十日から開催している。イグアスー市、マリンガ市につづいて、憩の園、文協大講堂(十五日午後一時半)。
 今回、来伯したのは森さんと二期会会員の吉川健一バリトン歌手、長谷川忍メゾソプラノ歌手。九日早朝、グァルーリョス国際空港に着き、同会議の役員・関係者らが花束などを贈呈し、熱く出迎えた。
 その後ニッケイ・パラセ・ホテルに移動し、三人と同会議の小森広理事長が会見した。小森理事長は「来年の百年祭の前夜祭として、森さんのブラジル公演を約二年前から計画していた。やっと実現ができてよかった」と語る。
 今回の来伯のきっかけとなったのは、〇五年九月の同会議のメンバーらによる「第三回皇居勤労奉仕団」の掃除。当日、雨が降り、何もできず、皇居内で集まっていたところで森さんが歌った。それが今回のブラジル公演に繋がったという。
 森さんは「よみがえれ日本の心、をいつも強調している。日本人は日本の素晴らしさを忘れている。安倍晋三首相が教育改革や憲法改正をしているのは、次世代の子供たちに必要なこと。日本が失っている日本を取り戻そう、変えようとしている安倍首相を応援している。今回の公演でブラジルの人々と触れ合って、たくさんのエールを携えて帰りたい。そして日本でブラジルの経験を伝えていきたい」と意気込みを語った。
 何がきっかけで「よみがえれ心の歌」の活動をしようと思ったか。
 森さんは「神戸で少年が首を切断した事件があってから、なぜ十代の少年が凶悪な犯罪をしなくてはならないのか」と心が痛んだという。心というものが大事、とそれ以来全国各地で公演をしている。
 所属する『二期会』は日本最大の演奏団体として、日本におけるオペラの普及と発展に向け、質の高い公演を行ってきている。
 同ホテルで、同日午後七時から森さん、吉川さん、長谷川さんの歓迎会が行われ、西林万寿夫サンパウロ総領事、内田和正国際交流基金所長、吉岡黎明救済会会長、山下譲二文協副会長、松尾治日本百周年記念協会執行委員長、尾西貞夫援協副会長ほか、日系団体関係者ら二十人が出席。
 西林総領事は「私が日本にいる頃、二期会のコンサートを約三十回くらい聴きに行ったことがある。二期会は日本人歌手を育てるところ。素晴らしい歌声がマイク無しで会場に響きわたったことを覚えている」とあいさつ。
 今回協力した内田基金所長は「日本を思い出させるような歌を期待しています。ブラジルにいる人々は懐かしさがよみがえってくると思う」と話した。
 吉川さん(アカペラ)と長谷川さん(ピアノ伴奏・矢崎愛さん)の歌声が披露され、会場にいる人たちは目を瞑って、静かに手拍子をしたり、涙が目に浮かぶ人も見られた。