大竹公使が今月、帰朝=地デジTV方式選択に尽力

2007年7月17日付け

 デジタルTV方式のブラジル導入に尽力した在ブラジル日本国大使館の大竹茂氏(54、福島県出身)が、経済担当公使という約三年間の任期を終えて今月二十日に帰朝するのにあたり、十三日に来社した。
 「いい結果を出せて良い思い出になった」。赴任したのは小泉首相(当時)来伯直後の〇四年九月。まさにデジタルTV方式の選択やエタノール関連など、現在の日伯経済のベースが盛りあがりを見せ始めた時だった。「たまたまこの時期にぶつかった」が、数々の難問に阻まれながらも成果につなげた。
 必ずしも技術的に良いものが選ばれるとは限らない政治状況の中で、「ルーラ政権は一番いいものを選んだ」と評価する。欧米流の強いロビー活動はできなかった、と振り返りつつも「戦うなら勝つつもりで」と強い意気込みで臨んだ。外務省の前は、東京銀行勤務の民間人だった。「民間のメンタリティが結果として役に立った」という。
 空港ストの混乱が続いていることから再浮上しているサンパウロ・リオ間の新幹線構想に関しても「面白い案件ではある」としつつも、「九十億ドルは半端ではない」と慎重な様子。「これから動くのはエタノール関連でしょう」との見通しを語った。
 来年の百周年に望むこととして、個人的にはと前置きしながら、「その時だけパーッとやって一週間後には『あったね』とかで終わるような一時のイベントではなく、次の百年、二百年につながる息の長いプロジェクト、人材育成とか若者レベルの人材交流に力を入れて欲しい」と釘を刺す。さらに「最近はやりのアニメなどのポップカルチャーもいいが、日本研究者を増やすような地道なプロジェクトも必要では」との期待感ものべた。
 帰国後、外務省との契約期間を終えた後は東京で民間企業に入る予定。