フジモリ氏出馬の真意は?=妻・片岡氏に一問一答=「外交交渉に自信あり」

2007年7月20日付け

 今回の参院選挙に、チリにいるフジモリ氏(元ペルー大統領)が立候補し、日本はもとより南米諸国でも広く巷間をにぎわしている。唯一の日系候補、その真意はどこに。長年ペルーに住んだ経験があるジャーナリスト三山喬氏の協力により、東京在住のフジモリ氏の妻、片岡都美(さとみ)さんにメールで取材した。以下、一問一答。
――日本の政治で何をやりたいのか?
 日本は、フジモリにとって両親の故郷であり、彼自身も二〇〇〇年以来、五年間お世話になった国です。
 その国の政党(国民新党)から「大統領としての経験と実行力を日本のために生かしてほしい」と出馬を要請されたため、悩みに悩んだ末、申し出を受けることを決めました。
 今回の選挙では、アジア外交(北朝鮮問題)、治安の回復、地方経済の活性化の三つを公約に掲げていますが、とくに外交交渉に関しては、大統領時代、エクアドルとの国境紛争を解決した実績や、多くの国々との人脈もあることから、本人も自信を持っています。
 治安問題や地方の活性化も、ペルーでの経験が生かせる分野です。在外邦人の皆様にも、ぜひご理解とご支援をいただければ、と考えております。
――今回の出馬はペルーで今まで支援してきた人たちにとって、どんなメリットがあるのか?
 現段階ではまだ、ペルーの支持層にも動揺があるようですが、日本の参院議員となり、ペルーとの友好議員連盟に加われれば、日本からの援助事業などの形で、ペルーにも利益をもたらせます。
 また、今回の立候補はあくまで、ペルーのために働きたくても働けない状況下で、一時的に日本に力を貸してほしい、と言われて応じたものですから、最終的に条件が整えば、再びペルーの国政に復帰する、という方針に何ら変わりはありません。
 そのことは本人もはっきり言っていますし、ペルーの支持者たちも徐々に理解してくれてきています。
――チリにいたまま、どのような形でフジモリ氏の選挙活動をしていくのか?
 基本的に、選挙キャンペーンは国民新党や日本の友人たちに任せています。選挙運動では、すでに録画済みのメッセージビデオなどを使っています。
――おなじ日系人として、来年、百周年を迎えるブラジル日系社会に対するメッセージを。
 フジモリの両親は、戦前、大変な苦労をして子供たちを育て上げ、教育を与えました。おそらくは、ブラジル日系社会の皆様も長年、同じようなご苦労を重ね、今日の立派な日系社会を築き上げられたものと思います。
 同じ境遇の者として、百周年を迎えられるブラジルの方々に、心からお祝いを申し上げたい、という気持ちを持っています。また、来年の記念式典が立派に成功されることも、祈念しております。