コラム 樹海

2007年7月25日付け

 参議院議員選挙のサンパウロにおける投票者数および投票率は、前回の衆議院議員選挙(〇五年)に比較して上昇していない。本紙記者が投票所(文協ビル)できいた言葉「日本はいつでも最高でいてほしい」は、ほとんどの人たちの気持ではあろうけれども、選挙資格がある日本国籍保有者の大半の行動に反映されない▼今度の選挙期間中、違和感を覚えた事柄が一つあった。投票三日目、同じ文協ビル内で二期会のソプラノ歌手、森敬恵さんらのコンサート「よみがえれ!日本の心」があった。超満員の聴観衆は、森さんの(日本への)愛国心に同感、共感、あたかも酔ったように拍手を贈った▼森さんは、日本人が失っている日本を取り戻そう、と訴えた。そのためには心の教育が必要。ブラジルには温かい心を持った人が多い、昔の日本が残っている――こう言われて、また熱い拍手を贈り返した▼聴観衆の日本国籍保有率は、少なくみても半分以上だったであろう。日本を変えなければならないと主張する森さんの言葉に、うわべだけでなく、真に共感したのなら、在外選挙の選挙人登録率も投票率も、もっと上がってしかるべきではないか、と思った。違和感はそれである▼選挙人登録をしない人の多くは「してもしようがない」と言う。だから「登録すれば、基礎年金がブラジル在住者にも支給される、となれば、選挙人登録の数は有資格者の一〇〇%近くにまでハネ上がるだろう」という〃悪い冗談〃も大いに理解できるのだ。(神)