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注目の「農牧輪換」農法=パラグァイ=軌道に乗るJICAの貢献=試験成果発表会に150人=「将来はこれでなくては」

2007年8月4日付け

 【イグアスー発】パラグァイで農業分野におけるJICA(独立行政法人・国際協力機構)の貢献に新局面が登場した。去る七月二十七日、イグアスー移住地管内にあるCETAPAR(JICAパラグアイ農業総合試験場、有賀秀夫場長・東京農大卒)で「農牧輪換」の試験成果発表会が行われ、予想を超える百五十名ほどの参加者で熱気あふれる一日となった。
 「農牧輪換」とは畑作と畜産の複合形態農法のことで、CETAPARが中心となり、パ国農牧省、パラグアイ国立アスンシオン大学農学部、JIRCAS(日本の独立行政法人・国際農林水産研究センター)、それにパラグアイ国内の畜産農家が参加して三年ほど前から試験が行われてきている。
 CETAPARでこの試験を主導している堀田利幸さん(ラ・コルメナ移住地生まれ二世)は「この農法は孫の代まで持続できる農業ですよ」と自信を持って推奨している。
 CETAPARは、一九六一年にイグアスーに移住した日本人の営農の安定化を図ることを目的に、翌六二年に日本海外協力連合会(JICAの前々身)の直営農場として発足した。八五年に現在の形態を整え、九四年から非日系農家にも技術協力を行っている。今年の一月三十日には国立アスンシオン大学と相互協力協定を締結した。これによって、ア大の学生が卒業論文の作成、大学院生が博士論文のための研究、教授が試験や普及の研究にCETAPAR施設を活用する道が開かれ歓迎されている。
 この試験場は二〇一〇年三月にはパラグアイ日系農協中央会に移管される予定だ。有賀場長は言う。「農牧輪換の期待は大きい。イグアスー・ラパス・ピラポ日系三移住地を結ぶ一帯は、パラグアイを代表する穀倉地帯で、この国の輸出の半分近くを担っている。生産を維持するには土壌の維持が不可欠だ。主要作物である大豆の安定生産の一環としての農牧輪換の可能性が大きい」。
 土壌が良ければ収穫が安定し、収入も安定することは自明の理だ。これまでの農牧輪換手法の試験の結果、大豆の増産と短期間における牛の増体量が確認されている。
 当日は、農牧省副大臣一行やアスンシオン大学農学部長一行と学生三十六名、も参加したほど関心の高い発表会となった。セミナー室における試験成果の発表で、大豆・緑肥・放牧を組み合わせた手法の生産性の高さがビデオで放映され、参加者の関心を奪った。場内の試験現場で堀田主任らから説明を受けた参加者は農牧輪換手法で促成飼育された牛肉を試食した。肉質は良好で柔らかい、という反応が多かった。
 午後は四十年にわたってイグアスーで一筋に農牧転換手法を実践している伊藤鷹雄さん(岩手県出身)の農場で牛の放牧実態を視察した。「この手法は天候に左右されるリスクが少ないため、安定している。が、生きものが相手なので向き不向きがあることも事実だ。土地条件にも左右される側面がある」とは含蓄のある伊藤さんの経験談だ。
 今回の参加者の過半数がパ国人農家だった。牧畜だけの限界を知り、複合農業に転換する時期と農牧輪換の試験が合致している一つの現象であろう。今後は農牧輪換により多くの日系農家の関心を喚起する余地が十分に残されているようだ。
 教授陣と学生を引き連れて参加した国立ア大のロレンソ・ネッサ農学部長は、研究発表会を回顧して、「農牧輪換は新しい手法だ。経済性が高く、環境にも良いので有効な農法だ。これを普及するには農家の意識改革が必要だ。農家には計画性を持つことが求められる。日系社会は組織的であり、パラグアイの社会経済発展に大きく貢献してきた。アスンシオン大学がCETAPARとの関係を通して日系社会と連携を深めることを嬉しく思っている」という談話を発表した。パラグアイにおけるJICAの貢献が順調に前進していることを暗示する一面だ。

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