コラム 樹海

2007年8月8日付け

 パラナ日本語教育センター長の嶋田巧さんは、さきごろセンターが主催した日本語教師育成セミナーで、声を大にして教師らに語りかけた。「最近、大切な母国語である日本語が、英語などの次に考えられており、日系社会で日本語教育がおろそかになってきている」。「外国語としての日本語」教育論は、さておいている感じだ。なかなか、こうは言えるものではない。流されずに、主張が通っている▼さて、そのセミナーで指導したのが、太田櫻子シニア(JICA派遣)。太田さんは、アリアンサ婦人連合会の「セニョーラス勉強会」で「正しい敬語の使い方」の講師もつとめている。ロンドリーナに続いて北パラナの主要都市でこれから継続的に行われていくようだ▼実は、敬語を覚えたいという要望は、意外と強いのである。特に、中年から上の二世婦人。日本語会話はひと通りできるのだが、例えば日本から客を迎えたとき、あるいは訪日したとき、日本語が自信をもって口から出ない、何とかしたい、というのが、その習いたい動機である。衣食足りて、の次の望みともいえよう▼外国語にはない、いわば余分な部分の日本語(余分ではない!という叱責が飛んできそうだ)を学びたいというのは、やはり血であろうか。この勉強会に嶋田さんがからんでいるかどうかは分からない。しかし、講師を引き受けた太田さんと、気脈が通じ合えるものがあったのだろう。独自の教案を持つ太田さんはきっと成果を上げるにちがいない。(神)