一生サッカーと関わりたい=日本でコーチ続ける松原さん

2007年8月21日付け

 ヴィッセル神戸のスクール事業部でコーチをしている、松原ネルソン勝さん(55、二世)がこのほどニッケイ新聞社を訪れた。松原さんは札幌大学(北海道)のサッカー留学第一号。三十年以上前に訪日し、今も日本でのサッカー普及に携わっている。
 サンパウロ出身。五歳の頃からボールを蹴りだした松原さんは、十一歳の頃に仲間でチームを作って試合を行なった。その後、高校生の時にはサンパウロFCのユースチームでプレーしていた。
 十八歳の時に、サッカーを続けるか大学に進学するかを決断する際に、親からの「大学は出なさい」という言葉にプロ選手の道を諦めたという。
 しかし大学生の頃、邦字紙で見つけた札幌大学への留学募集の記事を見て応募し、見事合格。一九七三年二月にサッカー留学の第一号生として同大学へ入り、二年間プレーした。
 「札幌についた時は初めての雪に感動した」と話した後に、「日本についての情報がなく、映画で見たそのもの」と初来日の思い出を振り返る松原さん。
 一年の半分以上が雪に覆われてまともな練習ができない北海道で、ブラジル式のサッカーを取り入れた同大学は、後のサッカー界の有名選手がいる早稲田大学を見事撃破し、四強入りを果たした。
 一度帰国した後、札幌のサッカースクールのコーチをするために再来日。その後、札幌第一高校や岡山県の川崎製鉄水島サッカー部などのコーチを経て、現在のヴィッセル神戸でコーチをしている。
 現在は将来のJリーガーをめざす幼稚園から小学生のクラスのコーチをするほか、二〇歳から五十五歳ぐらいまでの普及クラスのコーチとして生徒たちに教える毎日だ。「大人は子どもたちと違い、楽しくサッカーができている。仲間を増やすことで人間関係もうまくいく人が多くなっている」という。
 日本のサッカーと関わって三十余年。松原さんは「これからも、コーチでなくても、サッカーに関わることができる仕事をしていきたい」と嬉しそうな表情で話した。