コラム 樹海

2007年9月1日付け

 韓国の宗教は仏教徒が多い。日本の新興宗教も活躍しているし、国民の50%超が、昔からの仏教を信仰している。但し―戦後のことだろうけれども、近ごろはキリスト教の勢力が強くなっている。プロテスタントであり、熱心な信者がかなりおり国民の20%から30%が聖書を手にしているそうだ。海外での宣教活動にも異常な力の入れアフガンで拉致された23人もキリスト教団「セムムル(泉の水)教会」のメンバ―だった▼牧師ら2人がタリバンによって銃殺され韓国でも無謀な宣教に走る批判は強い。新聞報道によると、韓国のキリスト教会(プロテスタント)は、175ヵ国に1万6000人の活動家を派遣しているという。しかも、昨年だけで2000人もが、布教を目的にし「危険な国」アフガンに渡った。勿論―韓国政府は、派遣中止を求めるのだが、信仰の問題も絡み難しく、イラクでは韓国のキリスト関係者3人が惨首されてもいる▼それでも―韓国とタリバンの折衝がまとまり、12人の解放が決まったのは喜ばしい。残る7人の解放も決まっているし、この大きな拉致・殺人事件が解決したのを歓迎したい。ただ―である。タリバンは、人質解放の前提条件として、アフガン駐留の韓国軍撤退を求めているのを忘れてはいけない。韓国政府はこの要求を受諾したらしいのだが―あるいは身代金の支払いがあったかもしれない▼宗教的な熱意からの布教活動が生んだ大いなる損害なのである。「セムムル教会」は、こうした危険な宣教はこれから慎むの謝罪声明を発表したが、これだけの大事件をお詫びだけでは済むまいに。(遯)