o世界柔道選手権=13日からリオで=ブラジル男子監督・篠原準一さん=控えめでも自信=「メダルといわず…」

ニッケイ新聞 2007年9月6日付け

世界柔道選手権=13日からリオで=ブラジル男子監督・篠原準一さん=控えめでも自信=「メダルといわず…」

 世界柔道選手権大会に向けて、ブラジル代表選手団が最終調整をかねた練習を三日、サンパウロ市内で始めた。代表選手が揃って練習するのは、七月のパン・アメリカン大会後はじめて。同日夜、篠原準一ブラジル男子代表監督(52、三世)はニッケイ新聞の取材に対し、「最終目標はあくまで北京オリンピック。チームの調子もいいし、今回はメダルといわずに、みんなでいい成績が残せればいい」と語った。
 同選手権大会は、今月十三日から十六日までリオで開催。今回の練習はグルジアとギリシャの代表選手と合同で、大会直前の十一日まで続けられる。「ケガをしないように打ち込みなどの基本的な練習を軽めにしている」と篠原監督。全体的にはリラックスした様子だ。
 篠原監督によれば、ブラジル勢でメダルの期待がかかるのは、〇五年の世界選手権大会(エジプト)覇者のジョアン・デルリ選手(六十六キロ以下、26)と、〇〇年のシドニー五輪で銀、〇四年のアテネ五輪で銅のチアゴ・カミーロ選手(八十一キロ以下、25)。
 チアゴ選手は背負い投げと内股を武器に、今年七月のパン・アメリカン大会でも優勝。「誰と試合しても一生懸命にやる。チャンピンを目指すだけ」と落ち着いた様子で大会を見据える。日本的なしっかりと組むスタイルが基本だ。
 デルリ選手は国内大会では敵なし。同階級で対戦もありえる日本代表の秋元啓之選手(筑波大学)については、「作戦はない。とにかく勝つだけ」と自信をのぞかせる。
 篠原監督によれば、同選手はこれまで二回、秋元選手と対戦し、「五分五分の内容だった」。また「持ち前のスピードをいかした双手刈や肩車が得意で、簡単に組ませないヨーロッパ的な〃勝つ柔道〃をする。もし寝技のうまい秋元選手と対戦したら、どっちが勝ってもおかしくない」と強調する。
 ブラジル代表選手は、昨年からの国内予選で二人の候補を選出したあと、今年の国際大会の結果をふまえて選んだ。基本的には「海外で実績のある選手」が集まっている。
 デルリ、チアゴ両選手のほかに、レアンドロ・ギリェイロ選手(七十三キロ以下)がアテネ五輪で銅、ルシアーノ・コレア選手(百キロ以下)もエジプトの世界選手権で銅、カルロス・オノラット選手(九十キロ以下)はシドニー五輪で銀メダルを獲得しているなど、国際的な実力者が揃う。
 また今回、パン大会三位のアレッシャンドレ・リー選手が六十キロ級の代表に入った。韓国系の選手で、長いリーチを生かした左内股、背負い落としが魅力、スピードにも溢れている。このほかジョアン・ガブリエル選手が百キロ超級、ダニエル・エルナンデス選手が無差別級に出場する。
 先のパン大会では男子代表の七選手のうち、金メダル二人をふくめて六人が三位までに入賞した。それにも篠原監督は「思ったよりもだめ。キューバ勢にやられた」と振りかえる。
 篠原監督は二〇〇一年から現職。七〇年代にヨーロッパでおこなわれた世界選手権大会に出場するなど活躍した。
 ブラジル・チームの特徴については、「日本のがっちり組む伝統的なスタイルとヨーロッパ的な相手と組ませないスタイルがまざっている」と説明する。日本選手の印象については「全部強いよね」と笑顔で述べた。