コミュニティ警察活動10周年=「日本式交番制度のおかげ」=軍警総司令官が貢献讃える=サンパウロ市の治安回復に=2000年からJICA協力

ニッケイ新聞 2007年10月5日付け

 サンパウロ州軍警のコミュニティ警察活動が今年、開始から十周年の節目を迎えたのを記念して、九月二十八日午前、サンパウロ市内の州軍警関連施設(SESCON―SP)で、同活動の発展に貢献した功労者の表彰式がおこなわれた。同表彰式にはアントニオ・ジニス州軍警察総司令官をはじめ、西林万寿夫在聖総領事や小林正博JICAブラジル事務所所長、石井孝JICA長期専門家(神奈川県警警視)らが出席。会場には州軍警察官など約三百人が参集し、節目の年を盛大に祝った。
 ブラジル国歌の斉唱ではじまった表彰式では、日本側からは西林総領事と石井専門家が記念のメダルを受章、ブラジル側ではブランダン州都警察司令官を筆頭に、四人の地域モデル交番長をふくめて約二十人が表彰を受けた。
 ジニス同司令官はあいさつで、「JICAの協力を得ながらこの十年でサンパウロのコミュニティ警察活動が発展したことは喜ばしい。特に日本式の交番制度の充実がサンパウロの治安回復につながったことは疑いない」と称えた。
 同州軍警は九七年からアメリカやカナダなどを参考に交番制度の導入をはじめた。現在、州内に二百六十八カ所の交番を設置している。〇〇年からはブラジルの警察官を日本へ派遣する研修制度をはじめた。〇五年からはJICAの技術協力を得て日本式の交番制度を定着させるプロジェクトを開始、これまで二十のモデル交番を設置している。
 また石井警視をはじめ、これまでJICAを通して日本から長期・短期をふくめて同制度の専門家、約十人がブラジルに赴任。それぞれがセミナーを開催するなどして、ブラジル国内での日本の交番制度の普及に務めている。
 サンパウロ市内にあるモデル交番のひとつ、プラッサ・ロータリー交番では、日本の交番と同じように地域住民への巡回連絡活動をおこなう。また掲示板・周辺地図を交番前に掲載しているほか、治安情報を載せた交番新聞なども発行している。
 また交番訪問者の記録表や巡回連絡説明書を統一の書式にして、情報の共有化を図るなどのアイディアも積極的に取り入れている。
 同表彰式のあと石井専門家は、「今後全伯の駐在所が日本式の交番制度を導入し、治安回復や犯罪防止につなげてくれれば嬉しい」と笑顔で話していた。