世界マスターズ陸上=日系選手、金6つの活躍=「農業のおかげ」「練習の賜物」

 日系人の快挙――。九月四日から十五日にかけて、イタリアのフィツィオーネで行われた第十七回世界マスターズ陸上競技大会で、日系人が大活躍。ブラジル代表選手団約百人のうち、一割、十人の日系人が同大会に出場。四人がメダルを獲得した。日系選手のメダル数は、ブラジル代表選手団の獲得総数、四十七個の四分の一を占める十二個。結果報告に来社した選手らは「今年は歳のバンタージェンがあったから」と謙遜しつつ、「これだけたくさんのメダルを持ち帰ったことはない」と大会での健闘を喜んだ。
 世界大会には、九十八カ国から四十歳以上、約九千人の選手が参加した。五歳ごとにカテゴリーが分けられて競技する。
 身長や体重など体格を比較すれば、概ね日系人は西洋人よりも小さい。なぜ日系人が強いのかとの質問に対し、松島巧さん(75)は「若いときには西洋人に勝てなかったけど、どうしてかね。あっちの記録が落ちるよりも、こっちの記録の衰えのほうがゆっくりなんだよね」。世界大会では、金メダルを二つ、銅メダルを一つ獲得した。
 二つの金メダルを勝ち取った南千枝子さん(80)は「若いときから農業をしてきたのが、よかったんだと思います」。五つのメダルを獲得した斉藤とみ子さん(81)は「四十九歳まで百姓をしていた」と話した。イビラプエラ・マスターズ陸上クラブの矢崎雄之介さん(77)は「練習が厳しいからだ」と答えた。
 運動を続ける上で大事なのが「身体が硬くならないようにすること」と、松島さん。「たゆみなく続けること」と力を込めた。
 初めて世界大会に出場した栗岡幸子さん(60)は「トップの選手を見て、いい刺激になった」。滝浪栄子さん(83)は「大会だと記録が伸びるんですよ」と感想を語った。
 来社には、アナスピ(サンパウロ日系マスターズクラブ)から川崎義男さん、菊地敏江さん、イビラプエラから栗岡イナオ会長らも同行し、好成績を喜んだ。
 大会でのメダル獲得者の結果は以下のとおり(カッコ内は記録)。
【松島巧さん】金メダル=槍投げ(41M22)、円盤投げ(36M10)、銅メダル=投てき五種(4345点)
【南千枝子さん】金メダル=七種目競技(3977点)、幅跳び(2M34)
【斉藤とみ子さん】金メダル=八百メートル走(4分35秒)、一万メートル走(1時間15分25秒28)、銀メダル=五千メートル走(39分19秒20)、千五百メートル走(9分30秒41)、銅メダル=クロスカントリー(59分31秒)
【清水弘さん(65)】銀メダル=三段跳び(9M96)、銅メダル(4M74)