日系社会記念館の建設も=ミナス州=前進始めた百周年事業=記念誌は年初に完成へ=資金集めになお課題=ルアネー法適用に期待

ニッケイ新聞 2007年10月11日付け

 ミナス・ジェライス州で同州日系社会の各団体からなるミナス・ジェライス日本移民百周年記念準備委員会(岡崎満子委員長)が行っている、日本移民百周年記念事業が前進し始めた。式典開催の中心になる、未完成だったミナス日系日伯文化協会(馬場直哉会長)会館の完成目途も立ち、日本庭園内の茶室建築も進展。記念誌も順調に進んでおり、来年三月には完成する見込みが立ってきた。委員会ではさらに、ミナス州の日本人の歴史を辿る記念館の建設も検討を進めている。一方で資金調達は難航しており、現在、三度目となるルアネー法適用の申請を行っている。(ベロ・オリゾンテ発=坂上貴信記者)
 〇〇年から〇七年九月までは資金難のために凍結状態だった会館の改築工事。ようやく資金面の目途がついてきたために、来年三月の完成を目指して今月中旬に工事再開を予定している。鉄鋼などの材料はウジミナスからの寄付などで補っている。
 会館を使用して、同州内の百周年記念事業を行う計画にしているために、会館の早期完成が求められている。
 ミナス百周年事業の目玉プロジェクト、日本庭園は建築費用七十~八十万レアルを予定。資金面は今年三月と七月に行ったルアネー法適用の申請が認められず、また在リオ総領事館や姉妹都市の山梨県からの支援も得られなかったため難航している。しかし、関係者は皇族来伯に合わせて開所式を行う姿勢を崩していない。
 日本庭園は、ベロ・オリゾンテ市パンプーリャ区(Av.Otacilio Negrao de Lima,8.000)の動植物園正面入り口に、面積約五千平米を使用して、茶室や石庭、めがね橋、三メートルの滝などを建設する計画。一番進んでいるのは茶室の建築で、使用する材木探しのため数人がアマゾンを訪れている。
 準備委員会ではこの他に同地日系社会の歴史記念館建設や、記念碑、記念誌、ドキュメンタリー製作などの記念事業を計画、検討を進めている。
 記念誌は日本人が同地に訪れてからの歴史を辿るもので、約三百ページを予定。執筆を担当している岡崎満子同委員会委員長は「ほとんど出来上がっているので来年三月までには出来上がるだろう」と進展具合をアピールした。
 記念碑はミナス出身の造形作家、マッシモ・ソアレイリョ氏により製作、寄贈されるもの。関係者は「自然石を切って記念碑にしたい」と希望を述べたが、現時点では未定。記念DVDやビデオなどは、現在製作のため様々な場所で取材を行っているところだという。
 ミナス・ジェライス州の日系の歴史を辿る記念館「100周年日伯友好修好館(仮)」は、現在ルアネー法を申請中。費用は約三百万レアルを計画しており、十一月中に可否が出される見込みだ。同記念館はパンプーリャ公園内の敷地に建設を計画しており、面積は約七千平米を予定。同地にイッペーの木を植えることも計画している。
 百周年の開幕・閉幕にあわせた文化行事は現在、内容を検討中。このほかにも、〇八年にかけて、日本食フェスティバルや芸術展、日系産業製品の展示会、カラオケやフットサル、柔道の大会なども開く計画だ。