上塚伝「荒野の人」出版会=友人ら集い能美尾さん祝福

ニッケイ新聞 2007年10月20日付け

 日本移民百周年記念「移民の父・上塚周平伝『荒野の人』」(能美尾透著、ニッケイ新聞社発行)の出版記念・販売会が十八日午後七時から、文協ビル九階のブラジル日本移民史料館で行なわれ、約百人が訪れた。ニッケイ新聞社、同史料館、レアル銀行の共催。
 同著は〇五年に本紙紙上の連載に加筆したもので、上塚の出生から皇国植民会社の現地代理人としての奔走ぶりや、上塚植民地の造成などの記録を分かりやすい文体で描いている。全百六十八ページで初版一千部。レアル銀行が協賛。
 ニッケイ新聞社の高木聖子さんが、訪日中の高木ラウル社長を代理して挨拶、関係者へ謝意を表した。
 編集に携わった日毎叢書企画出版代表の野口浩さんは、能美尾さんと邦字紙記者時代を過ごした往時を振り返りながら、今回の出版に喜びの声を寄せた。
 在聖総領事館の港偉夫領事、史料館の栗原猛運営委員長がそれぞれスピーチ。
 能美尾さんは、〇四年末に上塚植民地(現・サンパウロ州プロミッソン市)を訪れ、同地で上塚の〃墓守〃をする安永忠邦さんなどに取材したことにも触れ、「ある程度書けたのでは、と納得している。将来もう一冊書き残せれば」とさらなる執筆意欲を見せていた。
 忠邦さんの息子でリンス慈善文化体育協会会長の安永和教さんは、「父は、上塚さんの見舞いに行ったことをよく覚えており、今回の出版を喜んでいます」と話し、地元で配りたいと五冊を購入した。
 続けて、「次世代に伝えるためにもポルトガル語版の出版を期待しています」とコメントを寄せた。
 ニッケイ新聞社、各日系書店で販売中(三十五レアル)。十二月にはポ語翻訳版(二千部)の発行を予定している。