コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年10月23日付け

 二転三転―。旧南銀の所有者が次から次へと代わり真に紛らわしい。旧南銀不振が伝わったときには、びっくり仰天したものだが、結局は「身売り」という寂しい幕ひきに終った。名称もスダメリス銀行になり、これがレアル銀行に買収されて新しい看板にした途端にスペインのサンタンデ―ル銀行が踊り出てレアルを買い取る。この急変には驚くしかないが、どうやらこの傾向は国際的なものらしい▼こんな企業の合併・買収(M&A)は近ごろ、急激に増えている。日本でも大流行の兆しがあり、あの日興證券が米系企業に売却している。サッポロ・ビ―ルにも外国系による買収の話があった。庶民の味であるブルドック・ソ―スも買収を逃れるための防衛策を取り話題になり、もう他人事ではない▼少し古い数字だけれども、2005年の日本におけるM&A件数は2552件と過去最高。これは世界の第二位であり、首位はアメリカの9045件、3位はイギリスで2425件となっている。世界のM&A件数は約32000件、合計金額にすると約2兆7000億ドル(約300兆円超)。これを見ただけでも、合併や吸収が国際的なことがわかる。決して―ブラジルだけの話ではないのである▼こうした企業の大型化は急速に進んでおり、あの新日本製鉄さえも経営権の維持のために苦心し、デパ―トの大丸と松坂屋、三越・伊勢丹も統合している。こうした流れはこれからも強まってゆくだろうし、日本も外国資本によるM&Aに門戸を開いているのだから、ここしばらくは「M&A合戦」が経済界を席捲し大いに流行するのは間違いない。  (遯)