マンガ・アニメの人気高く=日本語センター=日本語祭り400人の賑わい=アリッセさんに理事長杯=初めての「書き初め」も

ニッケイ新聞 2007年10月31日付け

 ブラジル日本語センター(谷広海理事長)は、第五回日本語祭りおよび第二十八回サンパウロ日本語スピーチコンテストを二十八日、同センターで開催した。好天に恵まれた当日、センター内は七夕飾りで祭りの雰囲気を出し、外では魚釣りゲームが人を集めた。作品コンクールの表彰式、マンガ・アニメ作品の展示、バザー、古本市に、教師らが協力してやきそばの販売が行われ、会場内は午前中から、四百人弱の日本語学習者、保護者らでいっぱいになった。二十四人が出場したスピーチコンテストでは、非日系のアリッセ・モンチベラーさん(16)が、日本語センター理事長杯を受賞し、来月十日に実施される全伯大会への出場を決めた。
 普段は日本語教師の研修などに使用されており、成人が集まる同センターが、この日ばかりは百三十人以上の子どもたちが集い、賑やかな歓声が響く祭りを盛り上げた。スザノからは学習者らがバス二台に乗り合わせて来場した。
 百六十二点が集められたマンガ・アニメ作品展示には、五歳から十七歳が参加。出展数は毎年増加する傾向にあり、松下光子教師(62)は「マンガを書くために生徒たちは質問しながら学習を進めますから」とうれしそうにその意義を話した。
 初めて毛筆に挑戦する「書き初め」のコーナーには、真剣な面持ちで筆をにぎる来場者の姿。家族で訪れたウリセス・ソウザ・ルペスさん(15)は初めての自作品を見て「まあまあだよ」と恥ずかしそうに笑顔を見せていた。
 午後からはスピーチコンテストが講堂で行われ、昨年同様、二十人以上が参加し、発表を廊下で立ち見するほどに人があふれた。
 各出場者が、自身の経験をもとにユーモアあふれる内容でスピーチを披露。井上チアゴ・デ・アラウージョさんは、第一回バストス入植者の曾祖父の人生を振り返り、「ひいじいちゃんを誇りに思います」。パトリシア・レメス・ビクトリアさんは「太鼓の道」と題し「太鼓ととも自分も響く」と、その魅力を語った。
 身振りや衣装に工夫を凝らしての発表には、会場から笑いが起こることもあり、参加者らには温かい拍手が送られていた。
 見事、栄冠に輝いたアリッセさんは「うれしかった」と、はにかみながら控えめに感激を言葉にし、「日本文化に興味があって、日本に行きたいと思っている」と将来の希望を話した。
 スピーチコンテストの結果は以下の通り(敬称略)。審査員奨励賞=エステヴァン・ジル・ドス・ヘイス「神様、助けてください!」。以下一位のみ。【十五歳部門】藤野恵美「移民百周年を前にして思うこと」【カテゴリーC】アリッセ・モンチベラー「バイオリン」【カテゴリーB】吉田マルシア明「叶えられた夢、これからの夢」【カテゴリーA】該当者なし。また、作品コンクールJICA杯の受賞者は、犬飼ちえみ(書道)、中尾ゆり(絵画)、岩崎千恵美(硬筆)、さとうしげる(作文)。同理事長杯は、岡村ちえみ(書道)、安楽美幸(絵画)、研屋笑子(硬筆)、森下さゆみ(作文)。