コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年11月30日付け

 アマゾニア日伯援護協会(パラー州ベレン)の会報の編集者が、近着の会報で「『援協離れ』に一考察」と題し、経営の悩みを書いていた。同援協は、病院も経営しており、ブラジル日系社会では、サンパウロの援協に次ぐ規模の大きい団体である。経営の悩みに共通点があると断じることはできないが、いずれ同じ悩みがサンパウロにもやってくるという観点から〃人ごと〃でないような気がする▼援協離れは、即経営の危機である。危機は、具体的には総会出席者の減少(委任状を含めても一〇%ほど)、会費納入率の低下(約五〇%)だ。会員の援協活動への参加意識を低めている要因は、やはり「会員であってもメリット(価値、利点)がない」のようである▼それでは、援協離れに歯止めをかけるにはどうしたらいいのか。将来を見通すのは難しいとしながら、考察したのは、次の二点。一つは「後継者(二、三世)へ経営のバトンタッチを考えるとき、ボランティア役員は、現世代(一世)限りとする」。つまり、意欲と手腕のある人に経営をゆだねるために、役員を有給にするのが望ましい、ということである。役員の職務に専念してもらえるよう生活の保障をする、といっている▼もう一つは、あいまいさのない、会員へのはっきりした「見返り」。現行会員制では二、三世に魅力がない、と言い切っている。やっぱりここまで来たか、の感がある。サンパウロでこんなことが真剣に話し合われるのはいつか。(神)