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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年1月23日付け

 世相は変る。最近、結婚式にちなむある話をきいて、「すっかり遅れている」と痛感したことがあった。(私は)こんなことも知らないで、という思いである。若い二人が、結婚式のコンヴィッチに自分たちの銀行口座番号を添えるというのだ。「(祝ってくださるのなら)振り込んでください」というわけ▼実は、何年か前、プレゼント・リストのことを知ったときも、合理的だな、と驚いたものだった。結婚する二人が家電製品をはじめ日用品を販売する店を招待客に指定し、そこで買って贈ってもらおうとするのである。欲しい品のリストは店に届けておく。足を運ばなくてもメールという武器がある。これによって、日用品は重複することなく揃う▼尤も、コンヴィッチを受けた側に〃叛旗〃をひるがえされたら、この合理的方法はオジャンになるのだが、現代の若者たちには、したたかな計算、成算があるのだろう▼さて「銀行口座番号」話の続きである。この話を筆者に話した女性は、知人たちへの発送を孫に頼まれたのだった。もちろん「そんな恥ずかしいことはできない」と断ったそうだ。結婚式が終わってしばらく経ったころ、知人たちから「お孫さん、結婚されたそうですね。どうして呼んで下さらなかったのですか」と言われ、言い訳に大変だった、と苦笑いしていた▼世相のことは、知らないより、なんでも知っているほうがよいに決まっている。驚かずに世相についていけるよう、吸収、消化に貪欲にならなければ。(神)

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