コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年2月16日付け

 このところ大阪の橋下知事や山口県は岩国の福田市長と若い世代のガンバリズムが目立つ。お二人とも30代であり、日本の政界では子ども扱いされそうな若さである。橋下さんの本業は弁護士でテレビに出演し人気も高い。府債発行が5兆円を越す財政難に見舞われている商都・大阪をいかに建て直すかであり、橋下知事も退職金は半額にするとし、財政再建を第一に掲げる▼米空母艦載機54機の移転で揉めに揉めた岩国の市長になった福田良彦さんは、学生のときから国会議員の秘書をした生粋の政治好きである。その後、旧岩国市議選でトップになり、県議選挙でも堂々の当選であり、衆議院選も見事なばかりの戦い振りで晴れて議政壇上の人となった37歳。その国政の場を投げ打って移転反対の井原勝介前市長と激烈な選挙戦を闘い生まれ育った岩国市の最高ポストを獲得した人物である▼この艦載機をめぐる論争では、市民らも苦労したし、住民投票まで行い「反対派」が勝利を重ねてきた。だが―。国と防衛省は、移転反対を理由にして新市庁建設に必要な補助金35億円の支給を見送る。このため井原市長が辞任しての市長選だったが、投票後の出口調査では54%が移転に賛成になっているし、これが福田良彦市長の誕生に繋がった▼でも、新市長の福田さんは「艦載機はない方がいい」しかし―「現実的には米軍再編が進んでいる」とし、防音装置の改善にも全力を上げると市民らに理解を求めている。今の日本の政治には、こうした現状直視の判断が大切なのではないか。福田市長もだが、大阪の橋下知事も頑張れ。     (遯)