コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2008年2月23日付け

 焼津市母子三人殺害事件の裁判で、仮に被告の有罪が決まった場合、最低でも四十年の禁固刑になる。最高でも百年だ。ただ法定上の拘置期間が三十年までと定められているため、実際には判決内容による差はない。
 しかも模範囚と認められれば、昼間は出所し夜間だけ拘禁するといった措置もある。「日本ならばあいつは死刑なのに…」。この日、日本から駆けつけ傍聴した子どもの父親が、そう無念そうに洩らすのは当然だ。
 しかし現行のブラジルの憲法は自国民の他国引渡しを禁止している。憲法改正も難しい話だ。そうした〃限界〃がある以上、代理処罰は一連の問題の現実的な解決策になる。
 日本の基準から考えれば、ブラジルでの刑は確かに「軽い」。だからといって、〃逃げ得〃のまま犯罪人を放置しておくのも、被害者が報われないだろう。(泰)