宮城県から経済視察団=輸出、現地生産も見すえ=サンパウロ市

ニッケイ新聞 2008年3月7日付け

 宮城県内の食品製造・輸出企業などからなる経済視察団(団長=北山治彦・オフィスケイ代表取締役)が二日から六日までサンパウロを訪れた。
 ブラジルへの製品輸出、日本への材料輸入のほか、ブラジルでの現地生産、農業プラント輸出まで幅広くビジネスの可能性を探るもので、ジェトロ仙台、名古屋の食品企業を含む五人が参加し、大手スーパーチェーンや企業、ジェトロサンパウロ事務所など関係機関を訪問。四日には宮城県人会(中沢宏一会長)屋上で、持参したサンプル品による「ミニ物産展・試食会」が開かれ、県人会長など約二十人が訪れた。
 冒頭中沢会長は、「県人会としても文化交流に加えて経済交流も進めていきたい」とあいさつ。その後、参加者らが試食した。
 今回持参したサンプル品は、するめなどの乾物、イクラ、めかぶ、シラスなど三陸、北海道の海産物、大根、山ごぼうの漬物、同県で栽培されている「薬莱わさび」、地元の酒蔵会社「一ノ蔵」の日本酒など。
 中でも、半乾燥で長期保存可能な塩蔵わかめの人気は高く、参加者からの質問が相次いだ。
 宮城では元々わさび栽培はできなかったが、県の支援を受けて作られた栽培プラントを利用して成功したのが薬莱わさび。十五度の地下水が必要などの条件はあるが、将来的にはブラジルへのプラント輸出、現地生産も視野に入れているという。
 このほか、ブラジル産の生姜を日本へ輸出する可能性などについても意見が交わされた。
 視察を呼び掛けた北山さんは、ブラジルとの関わりは三十年以上。「県のブラジルへの認識はまだ低い。百周年を機にブラジルとの取り組みを考えてほしいと思った」ときっかけを語る。
 「手ごろな、親しみやすい価格の商品をブラジルに紹介したい」と話す北山さん。将来的には、ブラジルの企業との提携や現地生産、ブラジルを拠点とした他の南米諸国への展開も考えたいという。「今回の感触が良かったので、前に進みそうです」と語り、次回の来伯にも期待を表した。
 会場を訪れた西林万寿夫総領事は、県レベルでの物産輸出の試みを「これまであまりなかったこと」と評価し、「他の県でもこうした試みがあるといいですね」と語った。