コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年4月4日付け

 バイロの文協や県人会が「焼きそば祭り」を催して活動資金集めをしている。かなりの頻度で大規模にこの祭りをやっている団体に「どのくらい利益があるのか」を訊いてみた。答えは総売上げの四〇%。これは、この種のことにくわしい人には、常識的な数字だろうが、門外の人たちはどう思うだろうか▼答えた関係者には、この数字がちょっと多過ぎて申し訳ない、といった雰囲気があった。すぐに「最近は材料費も上がって…」と付け加えた▼焼きそばは、日系人の高齢者にも非日系人にもウケると定評がある。県連の日本祭りで「あれが郷土料理か」という一部の声が聞こえないかのように、多数の県人会の主要販売食になるのをみてもよくわかる。うどんやフェイジョアーダもポプラールだが、高齢者はフェイジョアーダを敬遠、非日系人はうどんに慣れてきたとはいえ、やはり馴染まない。となれば、焼きそばが最大公約数的に外れがない、ということだ▼ところで、着実に儲かる焼きそばだが、調理当事者の苦労は、また別の問題である。頻繁に祭りを開催している団体でも、当事者の負担を考え、そうそう何時もはやれない、と言う▼節目記念の祭典を開くのに資金がない、とぼやいている県人会の資金集めには、最適なイベントと思われるのに意外とやられていないのは、このためだ、と思い当たる。四〇%もの高率収益も、もし会場を借用したり、人件費を支払えば、限りなくゼロに近づくだろうと容易に察しられる。(神)