百周年で観光農村化に拍車=ラーモス移住地=州や連邦政府から助成金=国防相、斉藤総司令官が訪問へ=7月に八角堂落成式

ニッケイ新聞 2008年4月5日付け

 サンタカタリーナ州フレイ・ロジェリオ市の〃日本村構想〃着々と完成へ――。近隣にドイツ系やイタリア系子孫などの集団地があるラーモス移住地では、日本色を打ち出して観光農村化する準備を急ピッチで進めている。その資金六十五万レアルの助成を州政府に申請していたが、先週、承認される見通しとなった。七月二十六日には百周年を記念して、待望の八角堂のイナウグラソンも行われる。同地特産の和梨「豊水」を毎年贈呈している斉藤準一空軍総司令官は六日に、国防大臣を連れて同地を訪問する予定だ。移民百周年を迎え、八十人の小さな移住地ながらますます特色のある活動を展開している。
 昨年九月、クリチバーノス、フレイ・ロジェリオ両市を結ぶ舗装道路の開通式が行われた。「入植以来の念願、四十三年待った」と地元ラーモス日伯文化協会(尾中弘孝会長)は手放しで喜んだ。
 年末十二月には、舗装路の途中にあるマロンバス河の橋脚工事も完成し、新橋には「さくら橋」と命名した。古くなった橋に藤などをはわせて「花橋」にするアイデアもでている。
 日本在住の有志・斎藤健さんが九七年に観光物産館「八角堂」の図面を描いてくれたが、資金の目処が立たず休眠状態だった。一昨年に日本政府から草の根無償資金一千万円を受けられることになり、昨年一月から工事が始まり日本村構想に一気に弾みがついた。陣頭指揮には、斎藤さん自らが自費で来伯してあたり十月まで半年も滞在した。同文協の総務、山本和憲元会長によれば「あとは仕上げだけ」の状態。
 七月二十六日午後四時頃から、雪割り桜約二百本の花見を兼ねてイナウグラソンを行う予定。堂は床面積二百二十四平方メートルの日本建築風の建築物で、地元農産物や加工品、工芸品などを販売する。完成の暁には、同移住地のシンボルである「ひょうたん」をかたどった擬宝珠(ぎぼし)を最上部に設置する。
 その直前、午後二時には舗装道路が開通して二十分で行き来できるようになったクリチバーノス市で百周年記念公園開所式も行われる。既存のケネディ公園を日本風に改修、改名する。
 先週、州政府から六十五万レアルの助成がでる見通しが明らかになり、山本さんは「これで第二段階が進められる」と喜ぶ。この資金で敷地内に屋根と客席がある多目的コートを建設、ゲートボール場に屋根を渡し、会館と八角堂の両入り口間の改修工事を行う。「これで、桜祭りなどの大きなイベントがやりやすくなる」という。
 〇二年に長崎市から寄贈された鐘を展示する『平和の鐘公園』第一期工事の落成式が行われた。第二期計画として日本庭園、史料館が挙げられており、そちらに連邦政府から五十万レアルが出ることが、今年はじめに地元紙に報道された。
 六日には、同移住地を何度も訪問している斎藤準一空軍総司令官が、ネルソン・ジョビン国防大臣を連れて訪れる予定。山本さんによれば「和梨をブラジリアに贈った場にたまたま大臣が居あわせ、斎藤総司令官が試食するように薦めると、食べて気に入ってくれたらしいです」という。
 「こんな山の中の小さな村に、何で大臣が来るのかと、この辺のブラジル人がみんな驚いている。すごい大きな応援になります」と強調する。
 移住地が一丸となって取り組んできた、十年越しの特色のある観光農村化の歩みは、百周年を機会にますます拍車をかけている。