コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2008年4月8日付け

 近く寿司店を開き、みずから握るという日本人一世が、人からさまざま意見を聞いていた。美味しくてブラジル人をも客に取り込める店にしたい、というのが目標だ。
 繁昌している店もいくつか食べ歩いてみた。一部、シャリづくりのレシピも入手できた。参考にはしているが、けっして納得はしていない。とにかく、甘いのだ。非日系人が、よく皿に醤油をだっぷりそそいで、握り寿司をそこで転がすようにして食べているのを見かけるが、「ははぁ」とそのわけはわかる。
 日本人の職人なら、そこでかなり悩むはずだ。「そんな寿司をつくっていいのか。これまでの(自分の握る)常識を実践の際、かえなければならないのか」と。
 以前、ベラ・ヴィスタに寿司の食い方を知らない奴には食わせない、店に入れない、と断固それを通した硬骨の日本人職人がいたが…。(神)