コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年4月23日付け

 安倍前総理夫人の昭恵さんが、さきごろ日本に立寄ったダライ・ラマ十四世と「KY面会」したというので、話題になった。〃KY語〃は、メディアでも意外と使われているようだ▼中国政府は、チベット暴動にともなう鎮圧に関連し、同十四世が日本に立寄ることに不快感をあらわしていた。だから、日本政府関係者はあえて接触するのを控えていたにもかかわらず、昭恵夫人がさっさと会ってしまった。そこで「KYだ」(空気が読めない)と報道されたのである▼サンパウロにおいても、「KY」があてはまるような事態が出来(しゅったい)している。サンパウロ市の百周年式典に「どうやって入場するのか」「チケットや整理券が発行されるとすれば、それをどうやって入手すればいいのか」――は、コロニアの百周年を大切にしている人たちや、皇太子さまをひと目でも見たいと熱望している人たちの一大関心事だ▼日本側からの客を直接接待することを業務としている旅行代理店などにとっては、信用とさらに〃死活〃にかかわる超重大事である。一日でも早く決めて、発表してほしいのだ。なぜか、協会はその辺のことを広報してくれない。おそらく無関心なのではなく、会議が長引いているのだろう。しかし、立場が違えば「協会は本当にKYだ」と言いたくもなるのだ▼この日本のヘンな若者言葉、サンパウロでぴったりに使える事態が起きているとは…。これは一過性の流行語ではなく、案外寿命が長い言葉になるのかもしれない。(神)