サ紙・吉永拓哉記者=少年院体験記を上梓=「コロニアを知り、変われた」

ニッケイ新聞 2008年4月29日付け

 サンパウロ新聞社の吉永拓哉記者(福岡支局長兼務)が自らの少年院体験を赤裸々に告白した快著「ぶっちぎり少年院白書」(二見書房、千四百七十円)を三月に上梓、各方面で反響を呼んでいる。
 今まで知られることのなかった少年院での厳しい生活やその心境などを半年間の経験をもとに細かく描写、教官との人間関係、家族愛なども交えて描いた。
 吉永記者は、地元福岡で暴走族副総長を務め、十九歳で少年院送致となる。二十歳で南米に渡り、エクアドル、ペルー、ブラジル各国で様々な職業を転々とするなか、各地日系社会と交流、関心を持つ。一時帰国後、〇四年にサンパウロ新聞に入社し、〇六年にはサンパウロ新聞福岡支局を立ち上げた。
 最終章では、南米での生活や日系移民の歴史にも触れ、若い読者に向け、〃海外雄飛〃の熱いメッセージも書いた。
 「悪かった自分が更正し、頑張ることができたのも、南米各地の日系社会の温かさに触れからこそ」と語りながらも、「実は今回の本は前置き」と明かす。
 実体験を基に、「不良が南米を通し真人間になってゆく」ことをテーマにした次回作への意欲も旺盛だ。
 現在は、サンパウロ新聞で記者として活動中。「年末までを目処に百周年も含めたコロニアを取材、何かを日本の若者に伝えていければ」と大きな体に力を漲らせていた。