コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2008年4月29日付け

 『朝蔭』四月号の編集後記で主宰の牛童子さんが、投句者目黒はるえさんの百歳誕生日を伝えていた。現役の俳人である。「長寿」という言葉は、元気で活動している人に相応しい。目黒さんは、その途上にある。
 目黒さんは、六〇年代の半ば、二百人余が参加して念腹を囲む全伯俳句大会で、ひときわ目立つ存在だった。色白で目が大きくて、華やかで…。
 当時は、日本で句集『珈琲の花』を出版したばかりだったのだ。同書には今も例句に取り上げられる俳句がたくさん収録されている。夏の句と紹介されている一句は「蝉時雨移民の墓地は清潔に」である。評に「ブラジルの大地にしっかりと立つ作者の強い意思を持ったまなざし」とある。
 その後、何十年も日本のいくつかの俳誌の同人として、研鑚を積んでいる。ライフワークが続いている百歳だ。(神)