「21世紀の森づくり」に弾み=経団連の支援、ブラジルにも

ニッケイ新聞 2008年4月30日付け

 オイスカ・ブラジル総局(高木ラウル会長)はこのほど、日本経団連自然保護基金に申請していた、日系数団体連携による「大サンパウロ圏環境保護三年計画」が承認された、という通知を受けた。
 この基金は、日本経団連が会員企業や一般の市民に募金を呼びかけて自然保護や植林活動など環境問題全般に取り組んでいるNGO(民間団体)を支援する窓口となっている。今年は世界中から百七十件の申請があった。その中から半数以下の六十五案件が承認された。審査の厳しさが伺われる。
 南米で承認されたのは三件だけだった。他の二件はエクアドルのチャールズ・ダーウイン研究所におけるガラパゴス諸島の野生生物保護に、パラグアイのイグアスー日本人会で二〇一一年に迎える入植五十周年に向けた松林活動と環境教育に、であった。二団体ともこれまでの実績が評価された結果であろう。
 経団連基金の通知を受けて、二〇〇八年・移民百周年記念の全伯植樹キャンペーンを主唱しているブラジル・ニッポン移住者協会(小山昭朗会長)が、「二十一世紀の森づくり」の植林予定地である、サンパウロ市内から国際空港に通じる高速道路に面している、チエテ・エコロジコ公園で沖真一さん(在伯東京農大会副会長)の指導を受けながら整地作業を始めている。サンパウロ州政府らと連携して三年かけて在来樹種を十万本植える計画だ。
 同じ公園の一角ですでに〃豊穣の森〃を立ち上げているJICA研修員協会もこの計画の枠内で追加植林を行う準備を始めた。
 サンパウロ近郊のイタペチで芳賀七郎さん(コチア青年)が主宰している〃花の杜〃は、都市部に住む人々の憩の場のひとつとして評判が定着しているが、今回の計画と連動して、人々が自然環境に触れる面積をさらに広げる作業を始めている。
 ジャカレイにあるコチア農業学校では、数年前に日本経団連自然保護基金の支援を受けて建設した育苗センターで、今後の需要に対応できるよう苗木作りに力を注ぐ。
 アマゾン地域における不法伐採など暗いニュースが飛び交う中で、日系主導によるサンパウロ、グアルリョス、モジ・ダス・クルーゼス、ジャカレイを一つの回廊として結ぶ「大サンパウロ圏自然保護」活動が今、緒に就いた。