東西南北

ニッケイ新聞 2008年5月28日付け

 人間の都合や考えだけで自然を破壊すれば、自然との共存はありえない。フランス人がアマゾンの土地を切り売りとの報道にも唖然とするが、人の高ぶりに警告するかのように、医薬品成分の半分は植物などから発見されたもので、生態系の豊かさを失うことは人間の命や健康に直結するものとの記事。ブラジルでは、二日に一つのわりで新しい植物が発見されているともいうが、この豊かな自然の生態系を壊してまで栄華を誇るのは真綿で首をしめるようなもの。
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 自然といえば、二十六日、アマゾンの保全に口うるさい国際社会を疎んじたルーラ大統領が、「アマゾンには持ち主がいる」と発言。テレビでは、持ち主の管理にも問題ありと言われたが、新環境相も就任。今後の行方を見守る必要がある。
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 サンパウロ市でも老舗で八〇年代の重厚な建築の五つ星ホテル、マクスード・プラザが競売にふされることになった。最低価格は四千七百五十万レアルと設定されているが、市場価格は九千五百万レアルの同ホテル。市内では、クラウン・プラザが今週でその歴史に幕を閉じ、ヒルトンは地裁が借り受けることになっている。今のところ競売参加の申し込みはないようだが、競売が成立した場合の売却金は、マクスードグループ企業の借金返済に充てられる。
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 カンポス・ド・ジョルドンなどのあるマンチケイラの森林地帯で二十五日から行方不明になっていた国立宇宙調査研究院(Inpe)調査員ら三人は、二十二時間、怪我もなく、自力で脱出した。