徳島県人会創立50周年式典=副知事、議長ら12人むかえ=阿波踊りでにぎやかに祝う

ニッケイ新聞 2008年5月28日付け

 ブラジル徳島県人会(原田昇会長)の創立五十周年式典が二十五日、サンパウロ市の同県人会館で約百五十人が出席して開かれた。母県からは里見光一郎副知事、福山守県議会議長、谷川博文県国際交流協会理事長など十二人の慶祝団が来伯。半世紀の節目を喜び、将来の交流に向け誓いを新たにした。
 徳島県からブラジルへの移住者は約千三百人。徳島県人会は一九五八年六月、移民五十周年祭で母県から副知事が来伯したことをきっかけに創立された。
 八四年に結ばれた県とサンパウロ州の友好提携は来年で二十五周年。九四年に現会館が建設され、現在は約百五十家族の会員で活動している。
 式典では日伯両国歌斉唱、先亡者への黙祷に続いて、原田会長があいさつ。「歴代会長、役員、会員の支援と協力があって現在がある」と先人、関係者の尽力を称えた。一方、九六年の廃止まで四十人の県人子弟が参加した研修制度の歴史にも触れ、「会存続のためには若者交流が大事」と強調、新たな交流事業を要望した。
 徳島ブラジル友好協会の協力により県連フェスティバルで地元特産品を販売していることなども紹介。阿波踊りの普及についても「レプレーザ連のおかげで阿波踊りがブラジル社会へ行き渡り、日伯交流に貢献している」と述べた。
 里見副知事は先人の労苦を偲ぶとともに、「今のブラジルの親日感情は皆さんの培った努力が実ったもの。深く感謝したい」とあいさつ。「これからもブラジル、日本、徳島の友好の架け橋として活躍してほしい。遠くとも、ふるさとを思う心はひとつです」と語りかけた。
 丸橋次郎首席領事は「県人の数は少ないながら立派な会館があるのは、チームワークで頑張ってきた証左」と敬意を表し、「阿波踊りの指導という心の通った粋な交流があることを嬉しく思います」と述べた。
 来賓あいさつに続き副知事から文協、援協、県連の三団体に記念品を贈呈。さらに七十五歳以上の会員高齢者十八人、会への功労者八人と、特別功労者として瀬尾正弘相談役に副知事から賞状と記念品が贈られた。瀬尾さんが受賞者を代表して「会と母県のつながりのためやってきたことが認められ、今後の活動の励ましになります」と謝辞を返した。
 慶祝団と県人会が記念品を交換して正午前に式典は終了。昼食をはさんで午後からは藤間流の皆さんによる「海を渡って百周年踊り」と、レプレーザ連の子供たちによる阿波踊りが披露された。
 今回の慶祝団訪問にあたっては、徳島で最も長く続く阿波踊りグループ「娯茶平(ごじゃへい)」の岡秀昭連長(県阿波踊り協会副会長)、入江美樹さんが同行。式典前日の二十四日に、レプレーザ文協で五時間に渡り約六十人を指導した。指導者の来伯は初めてのことだ。
 レプレーザ連の舞台に岡さん、入江さんも加わり、本場の阿波踊りを披露。副知事、議長や原田会長も舞台で踊り、会場を盛上げた。
 最後は岡さんが呼びかけ、会場全体で阿波踊り。レプレーザ連、来場者の踊りの輪が会館中に広がり、祝典は大盛況のまま終了した。
 踊りを終えた福山議長は額に汗を浮かべながら、「ふるさとを思っていただける気持ちに感激を受けました」と話し、「がんばってほしいの一言。議会としてもできる限りサポートし、相談に乗りたい」と語った。
 慶祝団の一人、徳島ブラジル友好協会副会長の尾形光俊さん(77)は五三年に移住、六四年までブラジルで生活していた。現在までの来伯回数は二十三回。にぎわう会場で「研修制度や阿波踊りなど、交流の糸を切らないようにしなければ」と思いを新たにした様子だった。