建設進むサンジョゼ百周年公園=予定地変更、7割が完成=曽我部会長=「市民の憩いの場所に」=開所式は6月20日

ニッケイ新聞 2008年5月29日付け

 【サンジョゼ・ドス・カンポス発】ヅットラ街道の日系集団地、サンジョゼ・ドス・カンポス市の日本移民百周年準備協会(Associacao Pro-comemoracao de Centenario em Sao Jose dos Campos、曽我部道治会長)が計画している百周年記念公園建設が着々と進んでいる。日伯融合を表した同公園の目玉は、高さ十六メートル、幅十四メートルの圧延鋼製の鳥居。現在約七〇パーセント完成していて、六月二十日の開所を目指している。曽我部会長は「ようやく公園も鳥居も完成に近づいてきた。鳥居は日本を象徴するモニュメントになるだろう」と期待を寄せた。
 百周年を記念して計画された公園と鳥居の建設。建設候補地には、五、六カ所が挙げられていた。
 昨年末の時点では、公園と鳥居は、ヅットラ街道沿いにある市の技術センター敷地内に造成される予定だったが、様々な問題により、同市内の高級住宅地にある約八千平米の場所に移された。
 曽我部会長は場所が変わったことに対しては「場所は今回の方が良い。ファベーラも少なく、中心地にあるため、多くの人が足を運ぶ場所になるだろう。市民の憩の場所になれば」と希望を口にした。
 公園内には、池が造成され、池を跨ぐように鳥居が設置される。鳥居は、高さ十六メートル、幅十四メートルの圧延鋼製で銅色をしていて、錆びない鳥居になっている。夜になるとスポットライトをあて、赤茶色に見えるようにする計画だ。
 同鳥居は、これからの百年、日伯共生のモニュメントとして設置され、鳥居のイメージを崩さずに、日本を表すモニュメントとして設置される。
 また、公園内には、日本を表す桜、松など、ブラジルを表すイッペー、セザリアなどを植える。この他、日伯の平和を象徴するために祠も作る考えだ。
 公園と鳥居の建設費用は、約七十五万レアル。費用の半分は市役所が負担し、残りの半分は企業、個人などから費用を集めた。「少し足らないが、ほぼ問題ない」と曽我部会長は語った。
 同公園の工事を行っている葛山乃武由さんは「大まかな用意は終わっているから、現段階で約七〇%完成している。雨も降っていないので、仕事は順調に進んでいて、予定までには完成するだろう」と状況を話してくれた。
 トラック約九十台分の土を入れ、整地が行われ、四月十日に着工して、六月二十日の開所式を予定している。
 公園の完成後は、市役所や地元日系団体が中心になって管理をおこなっていく。「剪定や手入れなどのために、月に一回集まって楽しみながらやってくれれば」と曽我部会長は期待を込めた。

笠戸丸移民の4世=シルビアさんが設計

 公園の設計にあたったのは、市企画局のシルビア・クリスチーナ・ボルジェスさん(44、四世)。シルビアさんは、笠戸丸移民の子孫。曾おじいさんの湯口ケサイチさんが、一九〇八年鹿児島からブラジルに移住した。
 シルビアさんは、「日本語も分からないし、日本名もない」と話、「小さい頃、両親や祖父母は昔の話をしたがらなかったから、細かい話は知らなかったし、知ろうとはしなかった」と説明した。
 今回百周年を記念して公園を設計したことに関しては、「最初の移民の人たちのことを思いながら、日本の文化を現地の人たちに紹介できるのは本当に良かった」と喜びを表した。