コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年6月14日付け

 「ねじれ国会」は、面倒臭くて厄介な代物とは承知していたが、民主党や社民、国民新党による首相問責決議の可決には驚いた。先の選挙で民主党は躍進し参院第1党となり、国会の同意が必要な日銀総裁人事で与党が提案した旧財務省首脳の昇格を否定したりと賑々しいが、何故?これほど問責決議に拘るのか―▼これまでにも。鳩山一郎から小泉純一郎、安倍晋三など13回か問責決議案が審議されたが、すべて否決されている。今回は、ねじれ現象がるので戦後初の可決だが、参院の問責決議には、法的な拘束力はないし実効性も薄く、共産党が「効果のないものを決議しても意味はない」として共同提出に加わらなかったのは正しい。とは言っても、政治的な意味合いは大きく、与野党はこの問責決議を軽軽しく扱うべきではない▼問責決議が可決すると小沢代表は福田首相に「衆院の解散と総選挙」を要求している。しかし、洞爺湖サミットもあり、首相は以前から総辞職や解散と選挙には応じないとしている。民主党は暫定税や後期高齢者医療制度の廃止に応じないから問責決議を可決したとしているけれども、やはり―解散と選挙が狙いと見ていい▼勿論、与党も衆院で内閣信任案を可決したが、民主は審議を拒否している。こうした国会の停滞は許し難く批判も強まるのではないか。兎に角―参院選で勝利してからの民主党は、政略的な言動が優先されている。党内には、もっと地道な政策論を進めるべきの意見もあるが、主流にはなっていない。今の民主党に求められるのは与党との政策の競い合いであって政略戦争ではあるまい。(遯)