「全パラナ日系人集まれ」=22日ローランジャ式典へ=盛りだくさん百周年

ニッケイ新聞 2008年6月20日付け

EXPO移民百ロンドリーナ2008の広大な会場

EXPO移民百ロンドリーナ2008の広大な会場

 「ぜひパラナ州の全日系人が集まって記念すべき日を祝いましょう」。西森ルイス同州百周年委員会委員長(州議)は呼びかける。国内第二の日系人口を誇る州内には、七十もの日系団体がある。それを束ねるパラナ日伯文化連合会(リーガ・アリアンサ)が主体となった祭典委員会により、二十二日、ローランジア市の日本移民センター(ピッタンゲーラ大通り・アストロガ市方面出口)で記念式典が開かれる。午後二時から始まる式典には皇太子さま、ルーラ大統領らのあいさつほか、さまざまなアトラクションを用意、全パラナから五万人もの参加者を予定している。また移民百周年を記念して、ロンドリーナの中川トミ公園、ローランジアの「夢テーマパーク」、マリンガやクリチーバの日本公園など、州内各地でも特色ある記念事業が進められている。記念式典の概要ほか、おもな記念事業を紹介する。

【ローランジア記念式典・記念事業】
 記念式典は日本移民センターで二十二日午後二時から午後三時半まである。西森委員長、レキオン同州知事、ルーラ大統領、皇太子さまの順であいさつが予定される。
 またパラナ在住の日本人移住者千五百人を功労する表彰式がある。代表してパラナ祭典募金委員会委員長の沼田信一さん(90・一世)がレキオン州知事から表彰状を受け取る予定だ。
 舞台となるローランジア自体がドイツ系植民地。アトラクションでは、ポルトガル系やドイツ系の舞踊はじめ日本舞踊、盆踊り、人間ピラミッド(人の上に人が積み重なってピラミッド状になるアクロバット体操)、一千二百五十人の大合唱などがある。
 会場には同日午前九時から入場可能。午前中はカラオケや福引、作文コンクールの発表など、盛りだくさんのイベント。四千人ほどが一度に食事できるスペースも確保しており、食べ物や飲み物の販売も充実している。
 なお式典前の昼過ぎからは、皇太子さまご出席のもと、センター敷地内にあるパラナ開拓神社で、開拓先没者慰霊碑御供花ほか記念植樹、「夢テーマパーク」の定礎式などがある。
 会場の駐車場はすべて無料。十六アルケールの広大な敷地にあるため、一般乗用車は最低でも五千台駐車可能。入場券は必要なし。全パラナから五百台以上のバスが駆けつける予定で、五万人の来場者を見込む。
 同センターでは、移民八十周年、九十周年式典が開かれている。
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 式典会場となるローランジア移民センター内で建設工事が始まる「夢テーマパーク」。移民の歴史や日本の文化、技術などを紹介する三つの常設パビリオンを核に、劇場、各種施設をつくる壮大なプロジェクトだ。
 観光省が一千万レアル(約六億円)の資金を投入。建築総面積は五万四千平方メートル。リーガ・アリアンサが土地を市に提供し、代わりにテーマパークの運営権を市から九十九年間貸与される形となる。二〇一〇年の完成を目指す。

【ロンドリーナ】
 州内第二の都市、ロンドリーナでは同市の日本移民百周年祭典委員会(吉井篤委員長)により、「日本移民広場」(Praca da Imigracao Japonesa-TOMI NAKAGAWA・中川トミ公園)の建設工事が急ピッチで進められている。同公園は〇六年十月に死去した最後の笠戸丸移民、中川トミさんの名を称えたもの。市役所から譲り受けた約一万平米の敷地に造られている。
 公園中央には噴水を置き、広場正面入り口には大きい赤い鳥居を建てる。顕彰碑近くの公園入り口にも三つの鳥居を並べる。メイン建造物となるのは、造形作家・豊田豊氏による高さ二十二メートルの移民顕彰碑。この土台部分には富士山の裾野から取り寄せて花崗岩が置かれる。
 遊歩道や足のつぼを刺激する健康療法、「反射療法」が楽しめる円形の散歩道、野点ができる吹き抜けの茶室、イベント向けの舞台も設置。この舞台は太鼓やダンスなどの各種イベントの発表の場になる予定だ。
 黄イッペー、桜、松、竹を植えるほか、イベント内容を案内する日本風ののぼりやすずらん灯を設置し、日本情緒も演出される。
 二十二日午前、皇太子さまが同広場にお立ちよりになる予定。
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 同市の目玉イベントとなる展覧会「EXPO移民百ロンドリーナ2008」は六月十八日から開催している。二十二日まで。会場はパルケ・ゴベルナドール・ネイ・ブラガ(約七千平米)。三十万人の来場者を見込む。入場無料。駐車場代は十レアル。
 同展覧会は次の百年を見すえて、「伝統と文化、現代の文化、技術、ロボット、農業、出会い、会議、講演」をテーマに、日本の伝統文化を紹介する。マリンガ市で予定していた展覧会との合同開催。芸能ショーの発表ほかに、日本企業の協力を得ておこなうロボットショーが目玉として期待される。
 農工商部門の品評会、太鼓やカラオケ、YOSAKOIソーラン、盆踊りなどもある。会場の各所には、七夕飾りや地元学生たちが作った折鶴などが飾られる。
 同市では飛行場、バスターミナル、地元スーパーなどにも七夕の飾りつけし、百周年ムードを盛上げている。
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 このほかロンドリーナ市では、工学、生物学など、様々な分野の技術を学べるロンドリーナ連邦技術大学の建設を進行中。日本からの技術を取り入れた日本教育文化センターをつくるもので、日本の大学とも提携を結び、技術交流を図るのが目的。来年中の完成を目指す。

【マリンガ】
 北パラナのマリンガ市では、全伯最大規模の「日本公園(Parque do japao)」の造成が進んでいる。広さ十万平方メートル。総予算は二千二百万レアル(約十二億四千万円)。
 八万四千五百十平米の広大な土地に日本庭園、文化センター、総合体育館、観月台やレストラン、ギャラリー、茶室、池と浮島、東屋などを設け、約一キロの園路で散策も楽しめるようになる。姉妹都市の兵庫県加古川市から造園師を招き、整備を進めてきた。
 総合体育館はブラジル南部柔道優秀センターとしてスポーツ省からの認定を得たもの。現在、大方の工事を終えている。
 なお今月二十二日夕方ごろ、皇太子さまが同公園をお立ち寄りになる。また同日夜にはマリンガ文協会館で、皇太子さまの歓迎夕食会が開かれる予定。

【クリチーバ】
 州都クリチーバ市でも「百周年記念公園」の計画が進む。建設地は近隣のサンジョゼ・ド・ピニャイス市との境にある五十二万平方メートルの土地。園内の池に日伯両国をかたどった島を造成し、陸続きの〃ブラジル部分〃に、記念センターを建設する。完成後、同市在住の山村泰夫さんが作製した笠戸丸の模型ほかに、ロシア領内に沈没する笠戸丸の錨を引きあげて、園内に展示する予定だ。
 今月二十三日に定礎式をおこない、来年の移民の日にあわせてイナウグラソンする計画。なお、建設地を占拠しているファベーラ住民は、工事とともに隣接の公営住宅に転居することが市議会で認可されている。
 同公園の大部分は池で、整備後は集中豪雨時の洪水避け貯水池としての機能も期待される。
 なお同州出身の連邦下議らの働きかけにより、建設費として来月、観光省から三百六十万レアルがカイシャ・エコノミカを通じて出資される予定。このほか、今月二十二日から二十四日まで、市内セントロを中心に、日本祭りが開催される。

【その他】
 北パラナ・アサイ市では、市中心部に、兵庫県内の城をモデルにした「旭城」を建設する。城の中には、日本文化を紹介するスペースや、日系団体の会合場所、土産や日本食レストランなどを設ける。市長も全面的に協力しており、着工はこれから。二〇一〇年ごろの完成を目指している。
 パラナグア市でも、市内セントロに日本公園を建設する。六月二十四日、兵庫県知事や訪伯団参加のもと、定礎式をおこなう予定。教育環境の整備と充実化をすすめる同市役所の方針で、園内には全日制の小学校が建設・開校する予定。

【記念モニュメント】
 パラナ州内各都市に、移民百周年記念モニュメントが建設されている。正三角形のコンクリート製の土台で、「バランス感覚に優れた東洋人の特徴」を表現。頭頂部に日伯両国の地図を入れた銅球を掲げ、日伯友好のシンボルになっている。