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群馬県人会=大澤知事ら慶祝団を歓迎=「日系子弟の進学に注力」

ニッケイ新聞 2008年6月25日付け

 百周年式典に参加するため、群馬県から大澤正明県知事をはじめとする二十三人の慶祝団が来伯し、二十日夜、サンパウロ市の群馬県人会館で歓迎会が行われた。
 大澤知事は挨拶の中で、県人移住者が並々ならぬ苦労を乗り越えて、現在の日系社会を築いたことを賞賛した。中沢丈一県議会議長、高木政夫・前橋市長夫妻、長谷川洋・大泉町長ら、福田初男・留守家族会副会長ら慶祝団は、二十一日のサンパウロ市百周年式典への出席のために訪伯した。約八十人の県人会員が集まり、向かい合って談笑し、歓迎した。
 松田典仁県人会長ははるばるやってきた慶祝団へ感謝し、「母県との交流を増やすために、ぜひとも県費研修生・留学生を続けて欲しい」との要望ものべた。
 県から留学生や研修生への記念品贈呈、さらに県、前橋市、大泉町、移住家族会から祝い金が県人会に渡された。県人会から慶祝団全員に記念品がプレゼントされた。さらにサンパウロ市を代表して羽藤ジョルジ市議から知事らに感謝のプレートが手渡された。
 ニッケイ新聞の取材に対して大澤知事は、同日にサンパウロ州ジャカレー市に住む県出身者十三家族を訪ねた体験を振り返り、「温かいおもてなしを受けた。ここには日本の日本人が失った、人との絆を大事にする気持ちが生きている。逆に日本の日本人が学ぶべきかもしれない」とのべた。
 さらに大泉町、太田市、伊勢佐木市などのデカセギ集住自治体を抱える県だけに、「両国の絆を深めるにはどうしたらいいか、発展的に考えていかなければ」と前向きな対処を考えていると強調した。
 すでに多文化共生プロジェクトを組んでおり、「日本人に溶け込む形で、ブラジル人の方ともっと心の通った交流ができるようにしたい」との抱負をのべた。「日系人のみなさんが来てくれているから、日本の産業は成り立っている。日系人子弟の高校進学率をあげることに積極的に取り組みたい。それがかつてブラジルで日本人が世話になった恩返しでもある」とした。
 県人会員の磯忠夫さん(73、伊勢佐木出身)は「節目の百年に、懐かしいみなさんと久しぶりに会えて良かった」と感慨深げに語った。

「両陛下ご訪問は追い風」大泉町長=住民との融和は時間の問題

 慶祝団の一人に、人口の一〇%以上がブラジル人という日本有数の外国人集住都市、大泉町の長谷川洋町長がいた。「集住都市の町長として早くブラジルを実際に見て欲しい、とのおしかりを受けていた」と笑う町長は、今回が初来伯だ。
 四月七日、ブラジル人集住地であることから、百周年を記念して天皇皇后両陛下のご訪問を受けた。「両陛下から受入れ地域への感謝の念の表明を受け、日系ブラジル人には激励された。お二人自らお体を運ばれたことは、私には大きな追い風になった」と振り返る。
 〇一年から現職。外国人受入れを主導した対立候補を破って当選したことから、当初、地元ブラジル人コミュニティからは外国人に好意的でない首長と認識されていた。
 「できれば外国人の流入をある程度の割合でストップできないかという気持ちがあったが、法律的に難しいことがわかった。町民と外国人がどう交流していけるか、模索し続けた七年間だった」と振り返る。
 その経験から、「この現状を維持するのではなく、むしろ将来のためにどう活用していけるかを考える心境になった」との心情を吐露した。
 心境が変化した背景には、実際に日本の人口減少が始まり、今後の労働力をどうしていくかという国家の根本に関わる議論が起こり始めたこともある。
 「町民の苦情、大泉の抱えている課題を突き詰めれば、日本の国策に関わる。外国人を単なる労働力として受け入れるのか、人間としてか。それについて国は真正面から取り組んでいない。大方針なくして、地方の戦略はない」と批判する。
 日系住民に関して「衛生委員をやってもらっている日系の方も数人出てきた。時間の問題で、町民と一緒にやっていける雰囲気が出てきたのではないか」との見通しを語った。