盛大に30回目の七夕祭り=リベルダーデ=風にたなびくポ語の短冊=母県、仙台からも慶祝団=副知事「本場と同じレベル」

ニッケイ新聞 2008年7月15日付け

 サンパウロの冬の風物詩『第三十回サンパウロ仙台七夕祭り(30。TANABATA MATSURI-Festival das Estrelas)』が、宮城県人会(中沢宏一会長)主催で、十二、十三日の両日リベルダーデで行われた。移民百周年の今年、七夕祭りは三十周年を迎え、宮城県から伊藤克彦・副知事ら約六十人もの祝賀団が参加。会場はびっしりと集った日系人やブラジル人の老若男女に埋め尽くされた。主催関係者によれば、二日間で約十万人が訪れたと見られる。初日午後の開会式は連邦議員はじめ多数の来賓が出席、ジルベルト・カサビ・サンパウロ市長も顔を出すなど、盛大に行われた。
 七夕祭りはACAL(リベルダーデ文化福祉協会、池崎博文会長)の協賛で両日、雲ひとつ無い晴天に恵まれた。約二百五十本の七夕飾りと短冊で鮮やかに彩られたリベルダーデの会場は、人でごったがえした。焼きそばや手巻きずし、パステルなどの屋台や、手芸品などを売る店がたち並び、願いの種類ごとに用意された六色の短冊はひらひらと風に舞い彩りを添えていた。祭りの飾りを背景に写真撮影をする家族連れやカップルの姿が絶えなかった。
 十二日午後二時過ぎ、サンパウロ市リベルダーデ区の鳥居の下で神事が執り行なわれ、西林万寿夫・在サンパウロ総領事が「素晴らしい天気に恵まれて、第三十回目の七夕祭りが迎えられたことを心から祝福します」とあいさつした。主催者やウィリアム・ウー、飯星ワルテル・両連邦下議ら主賓によってテープカットが行なわれた。
 一行はリベルダーデ広場特設会場へ移動。開会式で池崎会長は七夕の説明とともに、「第三十回目の今年、今までで一番盛大で素晴らしい七夕祭りになるでしょう」と威勢良く挨拶をした。中沢会長は「これからもますます発展させてゆきたい」と宣言した。
 歩行者天国になったガルボン・ブエノ通りを埋め尽くすほどの観客が見守る中、ひまわり太鼓による和太鼓演奏を皮切りに、リベロン・ピーレス民舞会とACAL青年部による南中ソーラン、花柳金龍会による百周年記念曲「海を渡って百周年音頭」などが披露された。
 さらに今年は、百周年を祝してやってきた本場仙台のすずめ踊り協会の十二人が、ACALと一緒にすずめ踊りを披露し会場を沸かせた。
 宮城から来た伊藤副知事、高橋長偉(ちょうい)県議会議長ら祝賀団は前日十一日の夜に来伯し、この日は初めてのサンパウロ七夕祭りを堪能したようだ。
 「本場仙台と同じくらい凄い」と副知事は感想を述べ、「日本とブラジルは飛行機で二十四時間かかるほど遠いですが、ここにいらっしゃる方々の気持ちは、同じ日本人として近いということが分かりました」と、脈々と受け継がれている伝統に感動を表わした。
 今年初めて七夕祭りに訪れたという二世の笠原幸子さん(70)は、短冊に願い事をしに来たという。「聞いていた以上にとても楽しいです。また来年も来たい」
 毎年リベルダーデ体操会のメンバーとして祭りに参加している安次富(あしとみ)信子さん(71)は、今回初めて七夕飾り作りから実際に飾りつけまでを手伝い、「格別な思いで踊りました。最高です」と笑みで答えた。
 七夕飾りの下で日系人やブラジル人が踊りや太鼓を披露する姿を見て、感動して涙をこらえる日本人移民男性の姿もあった。