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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2008年7月29日付け

 噂話で、コロニアの古い作家たちの作品(小説)を日本の純文学系雑誌が「活字にする」と聞いた。ここでも「移民百周年を経て…」という契機を感じる。
 日本の出版社に、マイナーの作家に光を当てる――という表現があるらしい。マイナーというのは、「少数派の」や「二流の」といった意味があるが、コロニアの作家たちは、無数ともいえる日本の有名無名の作家に対比したら、文字通り「少数派」にちがいない。
 短歌や俳句は、早くから「(創作人口が)海外では最多」と知られ、作品もそれなりの評価を得てきた歴史がある。小説に関しては、「量」と進出への「意欲」が足りなかったのかもしれない。
 コロニア小説選集やパウリスタ文学賞に選ばれたのはほとんど純文学系の作品。日本の出版社は、日本で活字にし、残す意義をどこに見出したのだろうか。(神)

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