家族総出のディナーショー=レストラン「喜怒哀楽」20周年=響ファミリーが熱演

ニッケイ新聞 2008年8月5日付け

 ブラジル日本文化福祉協会の向かいにある日本食レストラン「喜怒哀楽」が、開店二十周年を記念して大衆劇団「響ファミリー」のディナーショーを七月十五日から四日間店内で行い、連日盛況だった。
 九一年に、東京は銀座の関西割烹料理店で一年間、板長の下で二番手としてならし、その後、大衆料理店でも一年間働き、調理師免許も取得した同店の三世フェフ、松井覚瑞(37、かくずい)さんは、毎晩別メニューの本格的な懐石割烹料理を振る舞った。
 ディナーショーでは、最初に響ッズの子供たちの舞い、続いて響ファミリーの彬斗(27・ひびきあきと)さん、弟の一真(かずま、23)さんが歌と踊りを見せ、狭いスペースを活かして観客と一体になったショーを繰り広げた。姉の佐藤浩香(=花柳寿美富浩)さんも熱唱し、最後には感極まって涙を見せた。
 彬斗さんの幼少時に八年ほど歌唱指導をした島田正市さん(72)はショーを鑑賞した後、「胸にジーンとくるものがある。ここまでなって良かった」としみじみ語った。「彬斗は小さいころからおっちょこちょいだったが、それが活かされて人を惹きつける魅力に昇華されている」。
 今回四回目だという田港アルベルトさん(45、三世)は「特に指先の動きに感心する。日系人がこんなに上手く日本文化を表現できるのはすごい」と興奮した様子。
 八六年一月、響ファミリーの生みの親、松井宮子さん(65、北海道出身)は日系二世の夫、覚瑞さんら子供三人と共に移住。それ以前、北海道庁展示会で表彰を受けたほどの木彫りの腕前を持つ。店の看板や店内に飾られた木彫り装飾は彼女の作品。
 最初はピリツーバに入ったが、八八年に引っ越ししようとリベルダーデで偶然見つけた物件が、現店舗のすぐ横にあった物件だった。
 最初はかき氷やあんみつ、アイスコーヒーを出す喫茶店で、「コーヒー=熱い」というブラジル一般常識の中では、日本風のアイスコーヒーが飲める店としてユニークな存在感をもっていた。
 現店舗の壁に貼られたメニューも多いが、松井さんは「実は百種類以上ある」と笑う。響ファミリー三人は、七月二十七日に再訪日した。