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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年8月27日付け

 「ローカルな文化、身体を通して、アイデンティティを確立することが大切」という話を第二回海外ウチナーンチュ会議で聞き、なるほどと思った▼「身体を動かしながら日本文化を吸収する」というのは、ここ数年盛り上がっている和太鼓やYOSAKOIソーラン、マツリダンスそのものだ。これに漫画アニメを加えれば、若者をひきつける無敵の魅力となるだろう。これは日系団体にとって〃四種の神器〃だ。若者に「いきなり日本語を勉強しろ」では敷居が高い。まずは楽しく日本文化に親しみながら自然に理解を深め、関心を高めていけば、どこかの段階でおのずと日本語にも関心を持ってくる▼野球、柔道、相撲、卓球、陸上、剣道など、かつてはスポーツがその役割を担っていた。現在ではスポーツより文化かもしれない。もちろん「ローカルなもの」としてはブラジルを代表するサッカーやバレーでもいい▼スザノのACEASで開催されたアウト・チエテ地区日伯統合フォーラムでも、いかにして若者を活動に巻き込むかという分科会があった。ある植民地の婦人部から「若い人がマツリダンスをやろうと言い出したが、伝統的な考え方の役員が上から押さえつけて辞めさせたことがあった」との話があり、「あれダメこれダメ」と上からキツイ言い方をしがちなのを反省する発言をしていた▼〃四種の神器〃をテコにして楽しく遊び、気が付いたら日系同士が深い絆を作っていたという形が理想的だ。大学や就職でしばらく日系活動を離れていても、そんな経験を幼年時代にした世代は、結婚して落ち着いたら子供を連れて戻ってくるに違いない。(深)

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