コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年9月2日付け

 鰻や魚を焼くときは「遠火の強火」が鉄則であり、備長炭が一番で最適とされるけれども、今は優れたガス器具があり料理人らは「最高の発明」と褒めちぎるが、食品の3大発明となるとーこれはかなり難しい。それぞれの好みもあるし、味ほどうるさいものはない。だが、身近なものとしては、インスタントラーメンではあるまいか▼台湾で生まれた故安藤百福さんが、大阪の木造建ての研究所で発明したもので今や世界の人々が食べている。年間に1000億食、1人が15食も食べているのだからーこれはもう凄い。ちょっと庶民派にすぎてノーベル賞には遠いだろうが、これほど人々に好まれ愛されている食べ物は他に見当たらない▼日本には「即席めん専門店」もあって人気が高いそうだし、ちょっと「お腹が空いた」ときにはとても便利であり、高級品になると「生麺」もあり、これは確かに旨く美味である。8月15日が「即席めん誕生の日」で百福さんが苦心して作り上げた「チキンラーメン」を販売して50周年が経ちお祝いもした。それにしても、こんなに多くの国に進出して民族の壁を超え口に運ばれる商品も珍しい▼目下のところ消費量は中国が1位でインドネシア、日本と続く。あの韓国ではお国自慢よろしく激辛だし、その国にあったスープを造るというーこのお国振りが何ともいい。百福さんは、食が足りてこそ世も平和にという「食足世平」を理想とし掲げたそうだが、確か100歳近くまでこの世にいた故人の夢は、今もこの大きな地球の国々に広がっている。高が「即席めん」されど「チキンラーメン」なのである。  (遯)