援協=日伯の福祉専門家が意見交換=高齢者事情、デカセギ問題など

ニッケイ新聞 2008年9月3日付け

 八月十六日から十九日まで、バイーア州サルバドール市で開かれた「第十九回世界ソーシャルワーク会議」に参加した日本のソーシャルワーカーグループが同月二十日午後、サンパウロ市内の援協本部を訪れ、援協役員らとの円卓会議で、両国の福祉事情などついて活発に意見を交し合った。
 会議に参加した日本側のグループ(岩崎浩二代表)は、「日本社会福祉士会」「日本精神保健福祉士協会」「日本医療社会事業協会」「日本ソーシャルワーカー協会」に所属する各福祉士の約二十人。援協からは森口イナシオ会長、菊地義治副会長、小畑博昭元援協事務局長、山下忠男専任理事、具志堅茂信事務局長、八巻和枝福祉部部長らが参加した。
 会議では、援協の事業活動や福祉部に寄せられる相談内容、日本とブラジルの介護制度の違い、ブラジル日系社会の高齢者事情、日本のデカセギ事情など、幅広い質問が出された。
 とくに、ある女性福祉士からは、愛知県などでは、外国籍の住人を含めた地域福祉の向上を目指す「多文化ソーシャルワーク」の体制が整いつつあるとの報告があった。ただ、依然として、言葉に不便なデカセギ家族の医療や雇用にまつわる問題が多いとして、そうした問題に対するブラジル側での取り組みを援協側の出席者に尋ねる場面も見られた。
 この会議に先立ち、日本側一行が参加した世界ソーシャルワーク会議は、世界各地の福祉士の交流と知識向上を目的に、二年に一度開催しているもので、今年は世界四十四カ国から約二千六百人が集まった。
 同ソーシャルワーク会議に参加した社会福祉士の大島了さん(東京都港区立南麻布地域包括支援センター)は「ブラジルの人と言葉の壁を越えてお互いの福祉活動を伝えることができ、大変有意義だった」と振り返った。
 ソーシャルワーカーとは、社会福祉士や介護福祉士、精神保健福祉士など、社会福祉事業全般に携わる人たちの総称。