コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年9月4日付け

 先週アラサツーバで行われたノロエステ連合の盆踊りには、延べ五千人もが訪れたというから凄い。ペレイラ・バレットには世界で唯一といわれる専用会場まであり、この地域一帯はブラジルにおける「盆踊りの本場」だ▼戦前移民の多くが移住生活を始めた伝統の場所で、新しい「マツリダンス」が行われていることに力強い日系文化の息吹を感じる。これは〇〇年ごろに北パラナの青年たちが始めた新しい盆踊りだ▼「炭坑節」などの従来の振り付けに飽き足らない若者たちが、好きな日本の歌謡曲を盆踊り会場でかけ、今風の振り付けで輪になって踊り始めた。チェッカーズの『ギザギザハートの子守歌』などが定番。同じ盆踊り会場で、早い時間に通常の盆踊り、遅い時間にマツリダンスという形で時間を分けてやっている地方が多いが、地域によって変化がでてきた▼今週末にも行われる、グルッポ・サンセイ主催のロンドリーナ祭りではマツリダンスがイベントの中心にまでなり、ステージと客席が対面する形で数千人が一度に踊る。若者が中心になり、非日系なども巻き込んで楽しむにはこのコンサート形式がいいようだ▼ノロエステでは共存型だ。伝統的な「○○音頭」などを演奏するが、やぐら近くの中心部には若者が輪になって今風のマツリダンスの振り付けで踊り、同時に外側には高齢者が従来の振り付けで踊る。この形式の長所は老若男女が同時に楽しめる点だ▼地方部では盆踊りが若者も楽しめるような独自の〃発展〃を見せている。ところが、なぜかサンパウロ市近郊では大型の盆踊りを聞かない。サンパウロ市周辺でも日系文化としてブラジル社会に広めたらどうだろう。 (深)