パリ・コダマさん死亡事件=原因はエコノミークラス症候群か

ニッケイ新聞 2008年9月5日付け

 【既報関連】デカセギのため日本に向かう途中のフランスで、日系ブラジル人のオスカル・コダマさん(28)の気分が悪くなり、パリ市内の病院で死亡が確認された事件で、北パラナ在住の遺族は現地警察の取り扱いに強い不満を表明し、四日、伯メディアが一斉に報じた。
 コダマさんはTAM機で先月三十日パリの国際空港に到着、同日夜のANA便に乗り換えたが、離陸間際に気分が悪くなり、搭乗を見送った。空港内の救急診療所で一夜を過ごし、再度飛行機に搭乗。やはり気分が悪くなり、航空関係者が警察に通報。手錠されたまま警察の事情聴取を受けた後、市内の精神病院に搬送されたが、到着時には死亡していたという。
 現地当局の正式な死因の発表はまだないが、エコノミークラス症候群による肺血栓塞栓症の可能性が濃厚との報道もあった。これは狭い座席に長時間同じ体勢を続けることで血栓ができ、肺の血管に詰まって死に至ることもある症状のこと。
 ドウラードス・アゴーラ紙によればコダマさんの兄弟グスターボさんは「なぜ治療を受けられずに、警察の取り調べを先に受けたのか。もし十分な治療を受けていたら彼は助かっていたはず」と強く批判している。
 また、他の伯メディアに対しても「テロリストか麻薬密売者として疑われたのではないか。密売者は胃の中にコカインを隠し持っていることがある。警察や航空関係者は彼が具合悪くなったのはそのためと疑ったのでは」と話した。
 報道によると、他の兄弟ヴァグネルさんが遺体を引き取りに、今後パリに向かうという。兄弟らが暮らすパラナ州マリンガ市までの遺体搬送費用や埋葬費は総額二万レアル以上かかる見通し。
 三日付けオ・エスタード紙によれば、在パリブラジル領事・大使館のペドロ・カルネイロ氏は「捜査は始まったが我々には具体的に必要な情報が入ってこない。ただ、(コダマさんの死亡が)地元警察による暴力のためと考えるのは、とても難しい」と話している。