コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年9月13日付け

 相撲界がーいや日本中が大騒ぎである。大麻を吸って警察に捕まり解雇という名の「クビ」になった元前頭若の鵬。これに続きロスで黒人の歌手から大麻を手にし吸った露鵬、白露山2力士の不祥事で角界の土俵は大いに荒れた。史上最強の横綱とされた北の湖理事長が引責辞任という大事件にまでなり、後任に武蔵川親方を選ぶのもかなりのゴタゴタがあったそうなのも侘しい▼兎に角、大相撲の歴史が始まってから力士が解雇というのは初めてであり、もっと大事なのは相撲協会のトップが辞職という史上初の醜態を露呈したのが痛い。北の湖理事長も、最初から辞職を申し出たのではなく、しばらくは「休職」したいと述べたけれども、審判部長の放駒理事から反論があり、致し方なく「やはり退きます」と誠に不透明な決断らしいのである▼時津風部屋の傷害致死事件など最近の相撲界にはスキャンダルが多い。大麻吸引の3力士が揃ってロシア出身なのも、外国人力士の導入問題に影響しかねない。番付を見ればわかるように横綱を始め3役や幕内の多くは外国人の力士なのである。こうした人々に対するに日本語や仕来たりをきちんと教えるのは難しい。が、それをやり遂げるのが親方のはずだ▼躾はシツケと読むが、これの徹底もしてほしい。稽古の激しさは今も昔も同じだろうし、精紳棒でもある竹刀を使うのを禁止するの通達があったとかだが、これも行き過ぎではないか。稽古は厳しく。これは虐待と暴力とは違う。この厳格な土俵で鍛えられ青竹を割ったヘラで汗を拭い取る稽古が力士を生むの教えを親方らは見直して欲しい。 (遯)