アンゴラ日伯共同プロジェクト=尾崎医師、荒木技師が帰伯=人材育成が喫緊の課題

ニッケイ新聞 2008年9月16日付け

 JICA(国際協力機構)とブラジル政府の日伯共同プロジェクト「アンゴラ共和国ジョシナ・マシェル病院機能強化研修」によって現地派遣されたサンタクルース病院の尾崎ミルトン正幸院長と荒木文雄技師が先月帰国した。
 アフリカ大陸に位置するアンゴラ共和国は人口の五〇%が貧困層と言われている。二〇〇二年に二十七年間続いていた内戦が終了し、日本政府が約四十万ドルの復興支援金を、病院再建と医療機器購入のために無償で送った。
 尾崎院長と荒木技師は、その支援金で購入した医療機器や再建した病院の状況視察・診断のために約十日間派遣された。
 尾崎院長が現地に派遣されたのは昨年十二月に引き続き二度目。今回は病院視察や経営方法などの講習を行なったが、「基本的に訓練や知識が全く足りていない。その上、電気・水の慢性的不足がある。現状況で可能な対応策を話したが、問題が多い」と問題点を指摘する。
 初めて派遣された荒木技師はスタッフの知識不足を指摘し、「コンセントに詰まったゴミが原因で機器が接続できないなどの簡単な理由で、最新機器が揃っていてもその一五%しか活用されていない」と現状を説明した。
 アンゴラは現在マラリア患者やHIV感染者の増加が顕著で医療機関の改善が早急に求められている。両氏は機器などの物質的援助だけでなく、人材教育や技術援助が早急に必要だと考える。
 両氏は来年、また現地に派遣される予定。尾崎医師は、「現状を説明し、今後日本の政府に賢明な対応を求めてゆきたい。ポ語が公用語のアンゴラで、今後もっと多くの日系ブラジル人が掛け橋となれるだろう」と話した。