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ニッケイ歌壇選者の渡辺さん=自撰集『歴程の譜』出版

ニッケイ新聞 2008年10月10日付け

 ニッケイ歌壇選者の渡辺光さん(79、熊本)が創作自撰集「歴程の譜」を九月に出版した。短歌三百首、ブラジル日系文学会の主催する武本文学賞に入選した随筆七編、小説「小さな殺意」、また水墨画数点が収められている。
 一九六一年に技術移民として来伯した渡辺さんは、〇七年から当紙歌壇、老壮の友機関誌短歌、椰子樹誌選者を務めている。
 椰子樹に入会し短歌を本格的に始めたのは九五年。以来NHK全国短歌大会入選作品も多く、〇二年には「朝顔は宇宙(そら)より届くメッセージに聞き耳たつるさ霧のなかで」が森岡貞香先生選海外作品賞特選に入選。今年は「晩秋の牧場の地平に野火走り一千頭の牛追われくる」が皇居歌会始の儀に入選した。
 渡辺さんは自撰集出版にあたり、「風雪に堪えて異国の五十年生の証を歌集(うた)に遺さむ」と一首。あとがきで「私の歴程と言えるもの。生きて来た証として子供達に読み継がれていけば」と綴り、「子供らの心の温みに包まれて夫婦(ふたり)の余生恙なき日々」と家族への想いを込めている。

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