第62回芭蕉祭の献詠俳句=ブラジルからも特選・入選

ニッケイ新聞 2008年11月28日付け

 【一部既報】俳聖・松尾芭蕉をしのび、命日の十月十二日、出身地の三重県伊賀市で第六十二回芭蕉祭が市と芭蕉翁顕彰会によって行われ、同月二日に発表された芭蕉翁献詠俳句の特選の句などが読み上げられた。
 今年の献詠俳句一般の部には一万二千八百四句、テーマ部門(森)には二千四句の投句が寄せられたという。稲畑汀子氏や金子兜太氏ら選者十五人によって特選、入選句が選ばれ、ブラジルからは四句特選(十月四日付け既報)、十八句入選した。
 ブラジルからの入選句は以下の通り。
 【一般の部入選】
 ◎有馬朗人選
大樹海鹿鳴く夜の無月かな(戸口久子)
 ◎稲畑汀子選
耕やして耕やして移民百年祭(木村都由子)
頼りなき柳の芽吹き急かす風(赤木まさ子)
 ◎金子兜太選
草の芽や逃亡奴隷拓きし地(栢野桂山)
番屋辺の羆一喝鮭漁師(山本かおり)
移民妻日焼けし皺にある気品(香山和栄)
猿酒酌みて小躍するインジヨ(東比呂)
煮すぎたるうどん噛まずに秋の雨(牛尼楊子)
うろこ雲朝日を受けて泳ぎ出す(佐藤あさ乃)
 ◎倉田紘文選
三寒の指折りかぞえ四温待つ(伊津野静)
 ◎長谷川櫂選
囀りの中に吾あり亡き子あり(佐藤けい子)
珍しく夫居る一と日秋の雨(長田美奈子)
 ◎星野椿選
紫は立子師の色ジャカランダ(二見智佐子)
皇太子迎え華やぐ移民祭(松下緑白)
夜学して続けし句歴二十年(難波ふく江)
 【テーマの部入選―森】
 ◎片山由美子選
ハンモック揺らして一人森の中(西山ひろ子)
モルフォ蝶光こぼして森に消ゆ(広田ユキ)
蝶吹雪延延と越ゆ森の上(東比呂)