コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2008年12月9日付け

 再開発が進む東洋人街の玄関口、リベルダーデ駅。毎朝改札口を急いで抜けると、出迎えてくれるものがある。週替わりの生け花の展示だ。多くの人は足早に過ぎ去るが、感慨深げに見つめる人の姿も見かける。
 ブラジルの生け花は、その国民性同様、大胆で華麗なものが多く、日本の日本人が普段イメージする生け花の領域をはるかに凌駕している。
 それは、日本の自宅で母が生けていたような素朴さや、茶花のような凛とした儚さには欠け、懐かしさからは遠いものだ。
 しかし、本家の日本においても、一目置かれるほどにまで成長した伯製生け花。きっと愛好者の中には、日本では出来ない花木の取り合わせをうらやむ方も多いに違いない。
 ブラジルの素材を日本式の型に収めた様式美に、どこかコロニアの本質を見た気がする。 (綾)