交流年記念=アート展「大海を挟む隣国」=日本の作家も訪れ開会式

ニッケイ新聞 2008年12月10日付け

 【既報関連】百周年、交流年を記念したアート展「大海を挟む隣国―日本とブラジル、百年の近接」が四日、サンパウロ市のメモリアル・ダ・アメリカ・ラチーナ(Av.Auro Soares de Moura Andrade,664)ではじまった。
 同展は、日本の日伯アーティスト交流団体「JBAC」(ジャパン・ブラジル・アート・センター)により川崎市で九~十月に開催された日伯交流アート展のブラジル側展示会。
 今回はブラジルのアーティストグループ「Linha Imaginaria」がコーディネートし、メモリアル財団(フェルナンド・レッサ会長)などが主催。四日夜の開会式には、出品作家はじめ両国の関係者が訪れた。
 レッサ会長は、日系人シンポジウムなど同財団が今年開催した百周年記念行事の紹介とともに、日系人の伯美術界への貢献に触れ、アートを通じた日伯交流という同展示会の趣旨を「とても良いアイデアだと思う」と称賛、開催を喜んだ。
 同展には、両国二十九人の芸術家による絵画、彫刻、陶芸、写真、映像など様々な分野の作品が出品されているほか、造形作家・大竹富江さんの足跡を紹介するスペースなどもある。開会式後は会場の各所で、作品について作者に質問する来場者の姿が見られた。
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 日伯で開催された今回のアート展。作品だけの移動でなく、アーティスト同士の交流にも重点が置かれており、日本側展示会にはブラジルから十人、今回は日本から四人の出品作家が訪れた。
 今月はじめに来伯し、日本の藁とブラジルの泥を使った作品を開会式当日までかけて制作した三梨伸JBAC代表は、両国で無事開催されたことを喜び、「日本でも苦労したけど、ブラジル側も苦労があったと思う」と関係者へ感謝。さらに「日系人を通してブラジルとのつながりが広がった。ブラジルの作家が日本を気に入ってくれたことも嬉しい」と振り返り、「今回のつながりをさらに広げていければ」と語った。
 同展は一月二十五日まで開催(午前九時から午後六時、月曜休館)。入場無料。