【出版】=デカセギ問題抉る力作=杉山春「移民還流」

ニッケイ新聞 2008年12月30日付け

 デカセギの抱える様々な問題を日本とブラジル両国での綿密な取材を基に描いた『移民還流―南米から帰ってくる日系人たち』(杉山春著、新潮社、税別千五百円)が十一月に発行された。
 二〇〇六年末に静岡県焼津市で起きた母子三人殺害事件、デカセギ家族の生活の風景、非行少年らの心の闇、日本の学校での取り組み、元デカセギらのブラジルの生活など、特に日本で暮らすブラジル人の子供らに焦点を当て、普段取り上げられることのない世界を浮き彫りにした意欲作だ。
 著者の杉山さんは、「この国に暮らす全ての子供たちが、未来に希望を持っていきることが出来るよう、願ってやみません」と日本の共生への取り組みに一石を投じている。