ブラジル人児童の公立校転入増=長野=飯田市が支援員増へ

ニッケイ新聞 2009年1月7日付け

 【信濃毎日新聞】長野県飯田市で日系ブラジル人の子どもが民間のブラジル人学校から公立小中学校へ転入するケースが増え、市教委は八日から、市内の小中学校を巡回して言葉の面などをサポートする「外国籍児童共生支援員」を一人増員する。背景には、急速な景気悪化に伴う企業のリストラなどで、月数万円かかるというブラジル人学校での子どもの学費負担が厳しくなっている事情がある。
 共生支援員は、市が日本語教室とは別に独自に配置しており、現在はポルトガル語を母語にする人が一人、中国語が二人、タガログ語が一人。日本語があまり話せない外国籍の子どもがいる小中学校をそれぞれ週一、二回ずつ訪れて授業などを補助している。
 市教委によると、昨年十一月ごろから「ブラジル人学校の学費が支払えなくなった」などの理由で、公立小中学校に転入したいとの相談が増加。ポルトガル語担当の支援員はそれまで八校を回っていたが、十二月から支援が必要な児童が一人増え、九校を巡回することになった。さらに三学期からは二人が転入予定で、支援員一人では対応しきれなくなったという。
 このため市教委は当面、本年度中について既決予算の範囲内で支援員を増やすと決めた。市教委学校教育課によると「転入の相談はほかにもあるほか、子どもが公立小中学校に通う家庭が学用品費や給食費の支払いを心配する例もある」といい、就学援助などの制度も紹介している。
 同市の公立小中学校の外国籍児童生徒数は、昨年五月時点で百九十一人。このうちブラジル籍の子どもは八十一人で最も多い。